悲観的でカオスな時代から「最高の世界」を引き出す方法

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これに関連して、京都大学の酒井敏先生が以下のようにとてもいいことを言っています。「カオスな時代こそ、生き残るためには変人であれ」と。

“”世界が滅んでも生き残るため、京大生よ変人たれ。酒井教授が語る、カオスに立ち向かうための「京大の役割」”(京大発オンラインメディア「360°」、17年5月4日公開)

変人とは相対で、いわゆる「変人」と「常識人」がいたとして、世界中にその2人きりしかいなかったら「常識人」の方が変人とも言えます。

現在の常識人は、「周りのマジョリティと一緒である」という他人軸なのに対して、変人というのは自分軸を持っている人です。

上記記事で酒井先生は、マイノリティであればいいと言っているのではなく、「カオスな時代には周囲に忖度している場合ではなく、堂々と自分軸を持つ人であれ」と言っているのだと思います。

他人にこう思われたいからこう、こうしてほしいと思われてるからこう、ではないということです。

日本で本当によくないなと思うのは、教育環境でwhyの封じ込めを一生懸命行っていることです。小学生の頃、なんで普通の鞄じゃなくて皆と同じランドセルじゃないといけないの? と聞くと、そんなこと聞くなんて変だと言われたのを覚えています。

しかし実際の社会では、教育によって封じ込められたはずのwhyの課題設定能力の方が極めて重要となります。

私自身、会社経営を通じて簡単には思い通りに行かないカオスな環境を経験したことで、起業前よりもwhyの問いの設定能力が飛躍的に上がったという実感がありますが、これは後天的に獲得可能な能力だと考えています。

アントレプレナーシップはAIには代替されないと言いますが、それは、why能力は人工知能には代替されないということです。

なぜなら、何をするか、どうできるかのhowは(時間があるから)限界があるが、whyについては生命が生きている限り主観的な世界に限界がないからだと考えています。

カオスな世界をどう見つめるか

カオスな時ほど、主観的な信念を心の底から固めていくチャンスでもあります。

これは、生物も、個人も、企業も、団体も、国も同じです。

しかし残念ながら、急にカオスな世界にさらされ過ぎて、潰れてしまう機会でもあります。

もしも今カオスな環境に身を置いていて、辛い想いをしている人がいるなら、「何故」の問いを積み重ねていくことで、能動的に信念を固めていくとよいです。

「何故自分はその環境がつらいのか?」「本当は何を目指したかったのか?」を積み重ねていくことで信念を積み重ねていくことができます。この積み重ねた信念は代替できない貴重な命題となり、それがカオスな世界を進撃する糧となります。
以前ツイッターの質問箱で以下のように回答したことがありました。




現在の社会が課題山積だと思うということは、そうではない未来を願っているということであり、それはそのまま、その世界を創れるかもしれないという可能性そのものということになります。

逆にもしこれまでカオスな環境を経験したことがなく、かつ自分の信念がわからない人がいるのであれば、自分にとって予測不可能な環境に飛び込んだ方がいいです。

国も社会も、超高齢化社会だから、人口減少だから、暗い世の中だからなど、課題が山積している社会だという悲観的な風潮に潰されてしまうのではなく、そこから最高の未来を描けるとてつもないチャンスだなと考えています。

そう考えると、今の時代は未来の可能性しか広がっていないと解釈できます。

不明瞭な世界で課題が山積だと嘆いたり、他人軸に忖度している場合ではない、と心底思います。

カオスで不明瞭な世界に生きる私たちは、その世界にレバレッジをかけて、しなやかに自分の信念を自分達の未来に描いていく。

連載 : ゲノム解析の女性起業家が考える、私たちの未来
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文=高橋祥子

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