もうひとつ、重要な問題がある。あなたの頭脳と性格は、引退年齢を過ぎて働くための条件を満たしているのだろうか?
慢性疾患に苦しめられている人や、働くことができない人にとっては、答えは単純だ。そうした人はおそらく62~65歳、あるいはもう少し早く引退することになるだろう。
ボストン大学退職研究センターによれば、米国では、仕事をすぐ引退する人はわずか3分の1だという。お金が必要なので、働き続ける人も多い。あるいは、仕事を辞めるのが嫌で、「生涯現役」を選択する人もいる。
65歳で引退しない米国人はどんどん増えており、生涯現役も決して珍しくない。70歳を過ぎても働くことはできるし、パートタイムの労働力としてとどまることもできる。知り合いの弁護士は、文字通り生涯現役を貫き、結局、103歳まで仕事を続けた。
自分が長く働き続けられるかどうかを知るには、どうすればよいのだろう? カリフォルニア州のランド研究所とオランダにあるシンクタンクが、最新の研究で重要な特性を挙げている。以下は、退職研究センターのキム・ブラントンがまとめたリストだ。
認知能力:「いわゆる流動性認知機能、つまり、思い出したり、素早く学んだり、自分で考えたりする能力が高い人は、70歳を過ぎてもフルタイムまたはパートタイムで働く確率が高い。
考えられる理由は単純。流動性認知機能であれ、純粋な知能であれ、認知能力が高い人は仕事の選択肢が多く、年を重ねても労働力であり続けることに苦労しないということだ」
外向性:「外向性とは、他者や外部の状況に強い関心を示す特性のこと。外向的な人は、65歳を過ぎても何らかの仕事を続ける傾向にある。また、この特性を持つ人はほかのグループに比べ、70歳を過ぎてもフルタイムで働く確率が最も高い。さらに、外向的な人の中には、引退しないことを選択する者もいる」
誠実性:「この特性を持つ人は多くの場合、62歳を過ぎてもフルタイムで働く。ただし、65歳を過ぎると、誠実性の効果は弱まる。ある研究によれば、誠実な人は金銭的な面で、ほかのグループより引退への備えができているそうだ」
協調性:「素直な性格で、同僚と良好な関係を築く人は、65歳を過ぎても働く確率が高い」
神経症傾向と、新しい経験への開放性:「論文によれば、これらの特性は、引退の決断とほとんど無関係だ」
しかし最終的には、働く必要性、働きたいという欲求、十分な認知能力があるかどうかが重要だ。引退の決断を下す前に、これらの評価が必要だ。
これらの問いを検討し終わったら、社会保障(老齢年金)の受給を遅らせることが理にかなっているかどうかを考えてみよう。米国における老齢年金の受給申請には、70歳という期限があり、70歳で申請すれば、最大限の給付金を受け取ることができる。