総住宅数に占める割合で見ると、空き家率は13.5%にも上っており、空き家数及び空き家率ともに過去最高だった。前回(08年)の調査と比べてこの5年間で、実に64万戸の空き家が生まれた。この調査は5年ごとに行われており、ちょうど現在調査が行われ来年7月あたりに公表される予定だが、空き家数は1000万戸を優に超えていることがわかり、再び社会に衝撃が走るだろう。
空き家がもたらす「外部不経済」
諸外国と比べると、ドイツの空き家率は1%程度、イギリスの空き家率は3~4%程度と低水準にあることから考えると、日本の空き家の多さ、比率の高さは群を抜いているが、残念ながら今後も日本の空き家数は、今後加速度的に増加することが予想されている。その理由は大きく2つある。
一つは、圧倒的な需要減だ。国土交通省がとりまとめている「国土の長期展望」によれば、日本の総人口は2050年には9515万人となり、ピーク時の04年12月と比べ 約3300万人減少。高齢化率は約20%から約40%になると推計されている。もう一つは、無計画な過剰供給。野村総合研究所は、15年後の33年に空き家数は2000万戸を超え、空き家率は30%以上になると推計している。
空き家は、いわゆる「外部不経済」をもたらす。放置された空き家は、「治安の低下」や「犯罪の発生」を誘発し、「防災機能低下」、雑草繁茂や病害虫の発生等の「公衆衛生の低下」、さらには「景観の悪化」や「地域イメージの低下」など、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしかねない。
そして、こうした外部不経済は、結果として「住宅価値の低下」と「街の価値の低下」につながり、経済・社会問題を生み出すことになります。
地方でも、都市部でも
ところで、空き家を放置している所有者は、いったい、どういった意向を持っているのか。価値総合研究所の「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート」によれば、空き家のうち、売却や賃貸等を検討しているのは24%に過ぎず、71%の人は特に何もせずに所有しているだけということが分かっている。そのなかで、空き家を管理すらせず放置しているという人も12.8%いる。
その内訳は、一戸建てが74.1%と大半で、立地は農山漁村地域や郊外よりも市街地や市街地周辺のほうが60.3%と多い。これは、空き家が既成市街地や郊外の市街地で発生する傾向が高く、相続の問題などにより適正な管理がなされなくなることも多いためと読み解くことができよう。
実際のところ、空き家問題は何も地方に限ったことではない。放置された空き家が「崩れる」「放火など犯罪の温床になる」、ひいては「街の価値を毀損する」といった懸念が、東京23区内でも広がっている。