投機家たちが新築のアパートを大量に購入すれば、住宅が大幅に不足する。そして、それは中古住宅の価格をかつてない水準に押し上げる。例えば、2003年に1000以下だった上海市の中古住宅価格指数は、2017年には4000近くにまで急上昇した。
住宅の購入を検討している全ての消費者にとって、これは厄介な問題だ。家庭を持ちたい若い世代にとっては、とりわけ深刻な問題だ。ルチル・シャルマは著書「ブレイクアウト・ネーションズ 大停滞を打ち破る新興諸国」の中で、次のように述べている。
「特に深く失望しているのは、住宅を購入できないために結婚相手を見つけられない若い男性たちだろう。そうした男性は増加している──中国では独身人女性の70%が、結婚相手の男性にまず求めるのは不動産の権利書を持っていることだと考えている」
こうした状況から、中国では結婚を先延ばしにする人が増えている。江蘇省の当局が発表した最新の統計によると、同省の平均初婚年齢は2017年、34.2歳だった(女性が34.3歳、男性が34.1歳)。2012年には平均29.6歳、2015年には同32.4歳だった。また、中国では過去5年の間に、婚姻率が30%近くにまで急落している。晩婚化が影響していると考えられるだろう。
政府の対応が裏目に
こうした問題に対応するため、中国政府は公営住宅の建設を進めている。だが、これはより多くのゴーストタウンを生み出す結果となっている。シャルマはこれについて、次のように指摘する。
「政府は対策として、土地利用法に基づき開発業者らに公営住宅を建設させている」
「それは結局のところ、ミスマッチを生み出すことにつながっている。公営の(規格化され、外観や間取りなどがよく似た)トラクト・ハウスに住みたい若者はほとんどいない。そうした物件が建てられた地域の一部は、新たなゴーストタウンになるだろう」
一方、婚姻率が大幅に下落していることは今後、中国の人口問題を深刻化させると予想される。出生率の低下と労働人口の減少に加え、少なすぎる労働人口であまりに多くの退職者の生活を支えなくてはならないという都合の悪い「依存度」が高まるためだ。これは、中国経済と同国の金融市場の未来にとって悪い知らせだ。
中国は恐らく、日本からいくつかのことを学ぶべきだろう──日本はすでに、住宅や人口動態の問題に直面している。それでも、住宅は投機家を豊かにするだけのものではなく、若い世代の家族に入手可能なものとなっている。