US-1は「概念実証」
ゴアはUS-1を、自身の取り組みにおける「概念実証(PoC)」だと捉えている。インポッシブルが自社の主な目標として掲げているのは、大型で「ゼロエミッション」の電動航空機を開発することだ。ドローンの販売から得た利益は全て、この目標の達成に充てる。
現在、配車大手の米ウーバー・テクノロジーズは都市交通(空飛ぶタクシー)プロジェクトを推進しており、そのほかにも同様の計画を立てている企業がある。だが、これら各社のバッテリーに対する見方については批判もある。今後5~10年内に現行技術で生産可能な容量をはるかに上回るバッテリーが開発されると仮定。それに基づき計画を進めているためだ。
一方、インポッシブルは、バッテリー技術はそれほど早いペースでは進歩しないと見込んでいる。ゴアの考えでは、バッテリーのエネルギー密度を2倍にすることはできても、10倍にまではできない。そして、技術の飛躍的な進歩がない中で飛行距離、積載重量ともに実用的なあらゆる大きさの電動航空機を開発したいとすれば、基本的には一次構造部分を含め、“機体全体を電池で作る”必要があるという。
ゴアによれば、航空機が排出する温暖化ガスの量が突出して多いことを考えれば、電動航空機の開発は不可欠だ。旅客機の利用も大幅に増加している。民間航空会社が保有する航空機は、2040年には現在の倍以上に当たる約5万機に増加すると見込まれている。