図書館のルールとして実際にペナルティがあるのかは分からないが、子供たちには「期限までに返却出来なかったら、もう図書館で本が借りられなくなってしまう」と伝えている。すると、子供たちはしっかりと期間内で全ての本を読み終え、その中でも気に入った本を順に繰り返し読んでいく。
この時点で、借りたら返す。約束は守る。約束を守らないと次から貸してもらえない。というクレジット管理の大原則を感覚として理解する。
また、別の要素を学ぶこともできる。区立図書館で子供向けの本を借りると、借りてきた本のページの一部が破れていたり、汚れていたりすることがある。これは子供向けの本だけに仕方のないことだ。親としても、いつ自分の子供が本を破ったり、汚したりするかヒヤヒヤするものである。
どうやら、子供も借りてきた本が破れていたり、汚れていたりすると気になるようで、どうして汚れているの? と聞いてくる。前に借りたお友達がやってしまったのかもしれないね、と答えると、それはよくないと言う。なぜなら、自分が貸してあげた本がこうなってしまったら悲しいからだと言うのだ。
もし自分が貸してあげた本が破られてしまったらどうする? と聞くと、もう貸してあげないと言う。逆に、丁寧に使ってくれる友達には貸してあげたいそうだ。それでは、いつも丁寧に使ってくれていた友達がある日破いてしまったら? と聞くと、また貸してあげてもいいけど、あまり貸したいという気持ちにはならないそうだ。
金融教育だからといって直接お金の話をしなくとも、こうした日常の出来事を通して、信頼関係を築くのには実績を重ねることが必要であり、一方で時間をかけて築いた信頼関係も一瞬で壊れてしまうことを学ぶことができる。
クレジットスコアリングの時代
もはやフィンテックという切り口で日本よりも先に行ってしまった感のある中国では、アリババグループの「アリペイ(Alipay)」やテンセントの「ウィチャットペイ(WeChatPay)」が支払い手段として現金にとって代わりつつある。
アリペイには「芝麻信用」という信用情報管理システムが付属している。簡単に言えば、その人の信用情報をスコアリングして、信用度が高ければ色々なサービスを有利な条件で利用でき、逆に低ければ受けられないサービスも出てくるのだ。アリペイでの支払い履歴、保有資産、学歴や職歴がスコアリングに使われている。
日本でも今後は信用情報がスコア化され、アプリで確認できるようになり、その数字を基に様々な影響を受けるようになるかもしれない。そうなると、ますます子供たちにクレジット管理についてしっかりと教育していく必要が出てくる。
信用とはどういうものなのか? 図書館でクレジット管理を学ぶきっかけを作ってみてはいかがだろうか。
【連載】0歳からの「お金の話」
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