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カラシニコフ「CV-1」(courtesy of Kalashnikov)

ロシアは多くの輝かしい功績を生んできた。特に技術進歩の分野での功績は大きい。そのことを踏まえると、8月末にモスクワ郊外で開催されたロシア陸軍の国際軍事技術展示会で、自動小銃「AK47」の製造で知られるロシア企業カラシニコフが行った電気自動車(EV)の試作品「CV-1」の発表は、控えめなものだったと言える。

同軍が毎年開いているこの展示会は、画期的で国際的な自動車の試作品をデビューさせる場所として一般的ではないが、それでもこの車が展示会に出され、このショーが行われたことには何らかの意味がある。

ソ連の製造業では、額面通りの情報はマーケティング上のアジプロ(アジテーション=扇動とプロパガンダ=宣伝)であり、ソ連崩壊後のロシアでもその傾向は続いているため、この新自動車の発表もそのように受け止めざるを得ない。

CV-1は、カラシニコフ社の前身であるイジェフスク機械製作工場(イジュマシュ)が1970年代に販売した水色の4ドア式ハッチバック「コンビ(Kombi)」(ハッチバックとステーションワゴンを掛け合わせたような車だ)をベースとしている。

私たちの手元にあるのはこの情報と、発表されたCV-1の性能だけだ。ロシアでは今でも、一昔前のリムジン車「ジル(Zil)」やセダン「ラーダ(Lada)」が広く使用されており、CV-1のカーブの少ないかわいらしいブロック型の形には、確実にジルとラーダの影響が感じられる。

また、巨大なオープン型グリルは旧ソ連空軍のジェット機「スホイ」を思わせるが、西洋人の視点からすれば、グリルの下に口を付ければディズニー映画『カーズ』のキャラクターに早変わり、といったところだ。



しかし基本的に、車の外装に関しては、20世紀のソ連で生産されていた軍事用・一般用工業製品の多くを踏襲したデザインとなっている。

もう一度言っておくと、この車を作ったのはロシアの軍事産業複合企業だ。CV-1の車体は、東ベルリンにあるレトロデザインのスタジオからひそかに影響を受けて発表された、ただのトレンディーな旧ソ連圏向けの改造車では決してない。CV-1は、ブレジネフ時代のソ連のデザインに対する皮肉なしの愛情と敬意を表した正統品だ。

編集=遠藤宗生

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