Eペースの兄貴分、Fペースは、2017年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤー賞を受賞したけれど、果たして弟はその世界王者の素質を持っているのか? 今回、それを確かめるために、EペースのRダイナミックSE250仕様に乗ってみた。
Eペースをパッと見ると、Fペースのベビー版という存在感だ。ジャガーFタイプというスーパーカーのお尻を思わせるヒップを受け継いでいて、ノーズもうまくまとまっているが、EペースはFペースほど美人ではない。
さて、Eペースとは何者か? このベビージャガーは実は、うまい具合にジャガー・ランドローバーというブランドを利用して、主要部品を賢く集めて採用している。ボディの下に隠れているプラットフォームは、少し改善されたレンジローバーのイヴォークのそれを採用。でも正直なところ、その技術は5年以上前のプラットフォームなので、ライバルのBMW X2とボルボXC40よりも重い。
また、Eペースはランドローバー・ディスカバリーの前後のサスペンションを使いながら、ジャガーらしい走りを実現するために、フロントのダンパーとバネをチューニングして、より固めにしている。
ディーゼル仕様もガソリン仕様もあるけど、僕が試乗したのは、ガソリン仕様のSE250だった。249psと365Nmを叩き出す4気筒の2Lターボエンジンは、変速がスムーズな9速のA/Tと組み合わされている。
Eペースの車重は1910kgと重いのに、2Lエンジンの加速性やスロットルレスポンスは合格できるレベルだ。というのは、Eペースの加速性は普通に速く感じるけど、ライバルのドイツ車とスウェーデン車より遅い。例えば、Eペースの0-100km/hの加速タイムは7.2秒に対して、ライバルは6.5秒前後だ。
しかし幸い、Eペースのエキゾーストノートはスポーティで、4気筒以上の吠え方は印象的だ。ただ、これだけジャガーがスポーティな味付けをしようとしているのに、シフトパドルをつけていないのは残念だ(ワンランク上のEペースHSE250仕様はついている)。
Eペースの4WDセットアップはオンデマンドで、最初は90%がフロント、10%がリアの駆動方式にセットされている。でも前輪駆動とは感じられない。強く踏み込んだり、後輪が滑り始めた場合には、安定性を取り戻すためにより多くのトルクがリアに供給される。ハンドリングはきわめて正確、プログレッシブで高速コーナリングでもニュートラルだ。
実際、このクルマの走りはSUVというより、サスを固くセットしたスポーツカーのようだ。ただ乗り心地は、特に悪路を走るときは、少しキツい。