提出書類によると、美団点評は550億ドル(約6兆1300億円)の企業価値を見込んでいる。IPOにあたり、同社はテンセントから4億ドル相当の株式買い入れを約束された。美団点評はフードデリバリーから配車事業、映画や鉄道チケットの販売、医療予約など多様なO2Oビジネスを展開中だ。
美団点評は今年4月時点で約2億9000万人の月間アクティブユーザー(MAU)を抱えていた。これに対し、アリババのMAUは5億7600万人とされ、時価総額は4390億ドルに達している。
2010年に連続起業家のWang Xingによって設立された美団点評は当初、レストランやカラオケの事前予約で割引きを受けられる、中国版グルーポン的事業で業績を急拡大した。その後、フードデリバリーやレストランの口コミサービスを開始した。
美団点評の2017年の売上は339億人民元(約5340億円)。同社は今年に入り、95%の売上増を記録しており、2018年の売上は660〜700億人民元と予測される。しかし、利益率は低く、当面の間は利益の減少が続くと見込まれる。
同社のコアビジネスのフードデリバリーは、安定的に利益を出しているものの、新規事業は過去1年ほどの間、赤字続きだ。同社の新規事業には、4月に買収した自転車シェアのMobikeや新規に立ち上げた配車サービスなどが含まれる。
美団点評のグループ全体の総利益率は2017年の前半に41.6%だったが、2018年同期には25.5%に低下している。同社は今後も新規事業を拡大していくことが必須課題だが、これは今後のリスク要因でもある。
アリババに比べると美団点評が高リスク企業であることは明らかだ。しかし、中長期的スタンスで考えると同社が今後、大きく売上を伸ばすことも予想できる。仮に同社が出資元のテンセントの10億人にのぼるユーザーへのアクセス機会を得たとしたら、業績が飛躍的に伸びることも想定できる。
ブルームバーグの報道によると、美団点評はクラスBの新株4億8027万株を1株当たり60〜72香港ドル(約849〜1019円)で公開予定という。