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「塾代格差」という言葉をご存じだろうか。

都市部では7割近い中学生が塾に通うなか、経済的困窮を理由に塾に通えない子どもたちが数多くいる。進学の選択肢が狭まり、将来の悪循環につながりうる。

「貧困家庭の子どもに必要なのは塾に通うことなのか」。そんな批判も根強いが、「普通の人は塾に行けるのに、行けない子どもは苦しくないか」。この問いかけが共感を呼び、一大ムーブメントが起きた。

発起人は、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事の今井悠介とNPO法人キズキ理事長の安田祐輔。行政や民間らが協働して取り組む「コレクティブインパクト」の手法を用いた「スタディクーポン・イニシアティブ」を発足させた。

2017年10月に開かれた発足会見の顔ぶれを見てほしい。長谷部健渋谷区長のほか、スマートニュースやCAMPFIRE、新公益連盟やNPO法人ETIC.など、組織の枠を超えた賛同者が出席し、各マスコミが大きく報道した。著名人もSNS上で賛同を呼びかけ、当初目標を上回る約1400万円の寄付が2カ月弱で集まった。

寄付で賄われたクーポンは、渋谷区内の低所得世帯の高校受験生に配られる。利用できるのは、60を超える賛同した事業者。Z会や栄光ゼミナールなど全国区の事業者のほか、個人経営の学習塾、発達支援や特別なケアが必要な子どものための塾など幅広い。クーポンのメリットは、利用者が事業者を選べるところだ。

「公教育を無視するのか」「全員に支援が届かない」。当初、取り組みを批判する声も多かった。学校教育から民間塾、NPO法人や福祉行政、個人のボランティアを含め、教育活動の従事者は多い。誰かの活動を批判するのではなく、全員を巻き込み、お互いが補う仕組みを目指した。

「重要なのは、多様な子どもの個性や背景に合わせた選択肢があること。ベストは子どもが決めることです」(今井)。

「7割の共感」が敵をつくらない鍵だ。「支援してくれる人イコール100%合う人ではない。それぞれ理想は違うけど、最終的には目指している方向が一緒なんです。子どもにとって何がベストかを話し合えば、連携できる」(安田)。

18年6月には佐賀県上峰町が全額公費のスタディクーポン導入を決めた。検討中の自治体も全国に広がっている。

文=フォーブスジャパン編集部 写真=小田駿一

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