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里山に住む「ミニマリスト」のDIY的暮らし方

       

Miyuki Satake / Shutterstock.com

東京・神楽坂から、長野・富士見町に移住をして地味に驚いたのは、これまで当然のように持っていた通帳の銀行がないということだった。三菱UFJ、みずほ、三井住友……。支店がないのはもちろん、キャッシュディスペンサーでさえ1台もない。

地元の人に聞けば、「八十二銀行」「諏訪信用金庫」の2つがメインで、小学校の給食費は「JA信州諏訪」からの引き落としになるという。町役場にはキャッシュディスペンサーが揃っていて、今挙げた「八十二銀行」「諏訪信用金庫」「JA信州諏訪」のほか、「ゆうちょ銀行」が並ぶ。

メガバンクがあるのは都市部が中心で、地方では、地方銀行が根強い。そんな当たり前のことを知らないほど、地方とは無縁に生きていた。いや、無縁だったかというとそうでもない。出張や旅行で、日本各地をさんざん歩いた。でも、実際に地方に暮らしてみないと、自分ごととして気づかなかったのだ。

移住してすぐにメガバンクの口座を解約した。解約をするとき、窓口の女性に何か言われたような記憶があるが、長野に移住したことを話すと、もう何も言われなかった。

「グローバリズムと縁を切って、これからはローカリズムの中で生きていくんだ」と実感した。大げさに聞こえるかもしれないが、気がつかないうちにグローバリズムに自分が呑み込まれていたことへの恐怖感と同時に、そこから脱したことの安堵感を覚えた。

地方銀行では、顔なじみの窓口の人に「この間、新聞に掲載されていましたね」「雑誌見ましたよ」などと声をかけられる。話しているうちに他の人も加わったりして、「知り合い」がどんどん増えていく。

地方銀行の所長さんは、地域の学校行事にも参加しているから、子どもの顔も年齢も知っている。こちらが必要のないことまで営業はしないけれど、必要があればいつでもどうぞ、と寄り添ってくれている安心感がある。例えば車のローンを組むのに、八十二銀行の〇〇さんか、諏訪信用金庫の△△さんか……と担当者の顔が思い浮かぶのは、地方ならではのことだと思う。

現在の経済システムは、想像を絶するほど複雑に、かつグローバル化して、いったい何のためにこのシステムが動いているのか、よくわからないほどに肥大化してしまったように思う。

よくわからないけど大きいから安心感を感じるのか、大きいけどよくわからないから恐怖心を感じるのか。いやその前に、よくわからないことに気づくのが大切なことのように思えて仕方がない。

連載:里山に住む「ミニマリスト」のDIY的暮らし方
過去記事はこちら>>

文=増村江利子

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