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地方発イノベーションの秘訣

KURASERUと500 Startups Japan(左端がJames、右端が澤山、その隣が吉澤)

シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル「500 Startups」による起業家育成プログラム「500 KOBE ACCELERATOR」が今年も始まった。世界中から成功した起業家たち20人が指導役として召集され、参加したスタートアップにとっては、シリコンバレーのノウハウに直接アクセスできる国内でただ1つのプログラムだ。

知る人はほとんどいないが、このプログラムでは、500 Startupsの国内ファンド「500 Startups Japan」が、大きな役割を果たしている。3年前に鳴り物入りで設立され、クールジャパン機構、みずほ銀行、三菱地所などからの出資を受けているが、38億円という規模のファンドは、シードラウンドでは日本最大級だ。

ベンチャーキャピタル(VC)の枠にとどまらず、日本のスタートアップ業界をリードするこの国内シードファンドの不思議な正体を紹介したい。

投資家であるより「起業家」

500 Startups Japanが投資判断を下すと、国内のVCがそれを追う。2年前からこのようなケースが増えてきた。この500 Startups Japanを支えるのは、国内VCが舌を巻く「意思決定スピード」だ。リード投資家(出資割合が最大の投資家)として交渉をまとめることも多く、投資先36社のうち他の国内VCとの協調投資が3分の2にも達する。

時折、私は、神戸市が支援した起業家へのサポート体制を、国内VCから問われることがある。確かに行政の協力が後押しとなるビジネスはあり、その意図するところは理解できる。ところが、本来リスクを担うべき彼らの質問が、残念なことに銀行の融資審査のような、粗探しに終始する。

そんな中、500 Startups Japanは今年5月、介護施設のオンラインマッチングを提供する神戸のスタートアップ「KURASERU」に投資した。昨年から市の育成プログラムを受けていた企業だ。

私が驚いたのは、「介護」という行政に近いビジネスであるにもかかわらず、神戸市に何の確認も行わずに、500 Startups Japanは投資を決断した。代表のジェームズ・ライニーは、「病院から退院する要介護者に合った施設を探し出すという課題を解決できれば、行政のサポートはあとからいくらでもついてくる」と話す。

今月15日、500 Startups Japanは、有力投資先5社を都内に集めた。そこで、スタートアップ企業で働きたいエンジニアなどに向けた、いわば就職説明会を開催したのだ。急拡大するビジネスほど人材不足は成長のボトルネックになるからだ。


8月15日に開催された投資先企業の採用サポートイベント

投資先を「顧客」と捉えて、その成長のためにあらゆる手を尽くすのが彼らの思想だ。それもそのはず、本場アメリカの本社は、VCの枠にとどまることを嫌う。投資家であるより、むしろ自らが起業家であることをいつも自負している。

文=多名部重則

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