国内VCにはないチーム力
500 Startups Japanと仕事をしていると、彼らから、かつての日本企業が持っていた阿吽の呼吸のようなものを感じる。前述のライニーは、JPモルガンに勤めたあと、ResuPress(後のコインチェック)を創業した起業家だ。その後、DeNAでベンチャー投資を行い、500 Startups Japanを立ち上げた。アメリカ人気質からくる強気のコミュニケーションを得意とする。
同じくマネージングパートナーでエンジニア出身の澤山陽平は、JPモルガンや野村證券での経験から国内の大企業やファイナンスに精通している。さらにシニアアソシエイトの吉澤美弥子は、大学在籍中にヘルステックメディアを立ち上げ売却した起業家であり、彼女もまた大学時代に1年ほどJPモルガンに勤めた経験を持つ。3人は見事に補完し合い、安定感さえ感じさせる。
通常、日本のVCは、豊富な投資実績ある1人のキャピタリストが、ファンド組成と投資決定の責任を担う。他のメンバーたちは、キャピタリストが的確に判断できるように情報収集を行う。
ところが500 Startups Japanでは、昨年10月に創業したばかりのKURASERUを見つけたのは、シニアアソシエイトの吉澤だった。さらに自らの経験から、投資すべきであるとパートナーたちに提案。一般的な国内VCであればパートナーの補助に徹する立場の吉澤だが、積極的に案件を開拓しており、パートナーの2人も絶大な信頼を寄せている。
「500 KOBE ACCELERATOR」においては、最終審査はアメリカの500 Startupsが行なうが、500 Startups Japanがプログラムへ参加する国内企業を発掘し、その推薦企業は書類審査をパスし、アメリカ本部の面談へと進む。
「500 KOBE 2017 プログラム」の投資家向けデモデイの様子
書類受付中のいま(8月31日締切)、まだ誰にも知られていないスタートアップ企業がこのプロセスを進んでいる。500 Startups Japanによって白羽の矢が立てられた起業家に、実際に会うことのできる現地プログラムが始まる10月が待ち遠しい。
連載:地方発イノベーションの秘訣
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