しかし、3Dプリンター向けの銃の設計図はインターネット上に広く出回っており、誰でもダウンロードできるのが現状だ。
今年6月に米トランプ政権は、表現や銃所持の自由を求める団体「ディフェンス・ディストリビューテッド(DD)」に対し、設計図の公開を認める姿勢を示していた。しかし、DDが設計図の公開を予定していた8月1日の前日に、ワシントン州の連邦地裁が「取り返しのつかない被害を米国市民に与える」として公開を禁じた。
この問題に関しては今後も公聴会でヒアリングが重ねられる予定だが、「CodeIsFreeSpeech(コードは表現の自由だ)」などの複数のサイトが現在も、AR-15やベレッタの設計図をフェイスブックで公開しており、フェイスブックはこれをやめるよう求めている。
フェイスブックは銃や銃器のパーツの販売や交換を禁じているが、掲載アイテムが多すぎで全てを削除することは不可能だと述べている。ただし、「CodeIsFreeSpeech」のフェイスブックページへのリンクをメッセンジャーでシェアしようとした場合、「認められないリンク」と表示されるケースも確認されている。
CodeIsFreeSpeech側はフェイスブックの措置が、表現の自由の侵害にあたるとして、これに抗議する署名活動を開始した。しかし、銃に関わるフェイスブックの規制は、海外の国に比べればまだ緩やかなものだ。オーストラリアのニューサウスウェールズ州では、3Dプリンター向けの銃の設計図の所有は既に非合法とされている。
一方で、銃の設計図を規制することに意味がないと指摘する声も多い。犯罪者が本物の銃を入手することはたやすいことであり、3Dプリンターで作った銃の威力は低い。しかし、今後は3Dプリンター製の銃の威力が高まることも予測され、現段階で設計図のシェアを規制しておくことは、非常に大切だと主張する人々もいる。