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I write about economic and social trends in China. @johannylander

イムラン・カーン (Muhhamad Reza, Anadolu Agency / Getty Images)

7月25日に総選挙(下院選)が行われたパキスタンでは近く、パキスタン正義運動(PTI)の党首、イムラン・カーンが首相に就任する見通しだ。カーンは大きな目標の一つに、隣国インドとの関係改善を掲げている。

隣国同士は常に、平和を維持すべるきだ。インドとパキスタンの間の平和は、ナショナリストによる暴力の抑制に向けた前進を促すだろう。また、両国の経済協力の拡大と、外国資本にとっての両国の魅力向上にもつながるだろう。経済成長を維持したい両国はいずれも、これらを必要としている。多額の対外債務と経常赤字、大きな政府といった問題を抱えるパキスタンはなおさらだ。

だが、両国がカシミール地方の領有権問題などを乗り越え、平和的な関係を築くというのは現実的な考えだろうか。

米ロングアイランド大学ポスト校のウダヤン・ロイ教授(経済学)によると、「少なくとも両国の国民はそう考えている」。パキスタンの新たなリーダーとなる元クリケット選手のカーンは、「パキスタンは言うまでもなく、インドでも子供たちにとってのスターだった」からだ。「両国には熱狂的なクリケットファンが多く、スター選手だったカーンには、好感を持つ人が多い」という。

ロイ教授はまた、カーンは柔軟な考え方ができる政治家だと見ている。

「彼は英オックスフォード大学で教育を受けている…政治的にはイスラム強硬派との結びつきを強めているが、恐らくパキスタンのその他の政治家の大半と比べれば、ずっと寛容な考え方の持ち主だろう」

だが、残念ながらインドのナレンドラ・モディ首相は、カーンのような政治家ではない。ロイ教授によれば、モディは(両国関係にとっての)「大きな問題」だ。ヒンドゥー至上主義者のモディが、カシミール地方の領有権で妥協する可能性は低いとみられる。

さらに、両国関係にとってはパキスタン軍も問題だ。ロイ教授は、パキスタンでは過去に文民政権が外交政策を主導したことがない点を指摘。次のように述べている。

「外交政策の手綱を握ってきたのは軍だ。カーンがインドとの関係においてリーダーシップを発揮することができれば、それは驚きだ。外交政策においては基本的に、軍の意向が反映されることになるだろう」

ある政治アナリストも、「選挙でカーンが勝利しても、インドとパキスタンの関係に劇的な変化が起きるとは考えられない」として、ロイと同様の見解を示している。

「カーンはパキスタン軍の支持を得て、選挙でナワズ・シャリフ元首相率いるパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派に勝利した。これはカーンが今後、自身が目指すほど多くの変化を起こせないことを示唆している」

編集=木内涼子

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