詐欺師はムーアになりすまし、「クレジットカードを紛失した」とアメリカン・エキスプレスに報告。新しいカードを不正に取得し、高額商品の購入に使用した。手に入れた品物は、転売するつもりだったとみられている。
犯人は逮捕され、ムーアの資産の一部が不正に使用されることはなかった。だが、米国では実際のところ、こうしたケースは非常にまれだ。個人情報の盗難とクレジットカード詐欺は現在、米国内に最も広くまん延している犯罪だ。
個人情報窃盗防止研究センター(ITRC)によれば、クレジットカード詐欺は昨年、前年比で23%増加。約160億ドルに上る被害額は、回収されていない。私たちの誰もが、こうした被害に遭う可能性がある。
ムーアは幸い、資産を守るための予防策を講じていた。全ての人に役立つ対策には、次のようなものがある。
使用するカードの種類に注意
ムーアのクレジットカードを不正に取得した犯人は、彼女がアメックスのカードを所有していることだけでなく、カード会社のセキュリティーチェックをくぐり抜けるのに必要な個人情報を入手していたことになる。
このことが示すのは、私たちはクレジットカードとデビットカードのどちらを使用すべきか、というリスクに直面しているということだ。同じようなものに見えるこれら2種類のカードは、規制する法律と消費者保護のレベルが異なる。
公正信用請求法によって保護されるクレジットカードは、不正に使用された場合に所有者が負担すべき金額は、50ドルまでに限定されている。一方、電子資金振替法で保護されているデビットカードは、持ち主が被害に気づいた時点によって、その負うべき責任の重さに違いが出る。
被害の発生から2日以内に報告すれば、所有者の負担は50ドルまでだ。だが、2~60日の場合は500ドルまで。60日を超えれば、盗難に遭った本人が被害額の全てを負担することになる。