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オトコが語る美容の世界

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2015年9月の国連総会で採択された「SDGs」。最近、この言葉がよく聞かれるようになってきたのではないだろうか。英語の「Sustainable Development Goals」の略で、日本語で言えば、「持続可能な開発目標」。国連や環境問題からは遠い存在のように見える美容業界も、実は責任を持ってこの目標を達成しようと動き始めている。

SDGsには、持続可能な開発のための17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)があり、環境問題や人権問題はもちろんのこと、健康医療や働き方改革などもこのなかに含まれてくる。環境問題について言えば、以前、このコラムでも触れたが、美容業界には「マイクロビーズ」の問題がある。

マイクロビーズというは、洗顔などに入っている「スクラブ」と呼ばれるもので、自然由来の原料からではなく、超微粒子のプラスチックでつくられている(植物由来のものもある)。これを顔や体に塗布して洗うと、毛穴の汚れや古い角質がとれ、爽快感が得られるのである。

しかし、マイクロビーズはプラスチック製だから自然には帰らない。超微粒子のため、使用後には水道管を詰まらせることなく排水溝に流れていくが、やがて海にたどり着き、イワシのような小魚が食べてしまう。あまりに小さいため、浮遊していていもまったく気づかれず放置されてしまうが、少しずつ集まってくると、港の隅などに固まって浮遊していたりする。

スターバックスがプラスチック製のストローを店頭から排除するなど、このプラスチックの問題は世界的にもクローズアップされているが、「マイクロビーズ」問題も、美容業界では、改善必須の社会的課題として毎回議論されており、日本でも排除の動きが出始めている。

消費者はRSPOマークの確認を

さて、マイクロビーズと並んで、美容業界には改善する動きのある環境問題がもうひとつある。パーム油問題だ。パーム油というのは、アブラヤシというヤシの木からできる油だが、この油に対して世界が注視し始めている。

美容業界では、化粧品や石鹸などにこのパーム油が使われているが、「植物油脂」という名称でマーガリンやクッキー、カップラーメンなど食品にも大量に使われている。食品のパッケージ裏の成分表示に「植物油脂」と表記されていると、これは概ねパーム油を示しているらしい。現状、成分表示制度上ではパーム油と書く必要がなく、いわばこの油の使用表示についてはグレーな状態となっているのだ。

このように、業界問わずパーム油の需要は高く、世界でもトップの生産量を誇る農産物でもある。また、パーム油を採取するアブラヤシは、手があまりかからず簡単に育つため、東南アジアやアフリカでは、農業政策として拡大路線がとられている。

パーム油は、素早く搾油することが重要であるため、農場の中に搾油工場がある。そのため、採油工場を中心にして、そのまわりに広大なプランテーション農場を展開していくことになる。原生林を壊し、モノカルチャー農場(単一植物の栽培)となった畑は、人工造林であり、環境破壊にもつながっていく。自然界が本来持っている生物の多様性はなくなり、オランウータンや象が生きていく森が失われていくわけだ。

そうした背景からアンチパーム油の活動は盛んで、海外では「palm oil」問題としてたくさんの活動が立ち上がっている。日本では「熱帯林行動ネットワーク(JATAN)」や「WWFジャパン」の公式サイトで詳述されているので参考にしてみてはいかがだろう。

国際的には、2004年に「持続可能なパーム油のための円卓会議(Roundtable on Sustainable Palm Oil)」が設立され、その頭文字をとって、自然破壊につながらないパーム油には「RSPO」という認定が出されている。化粧品や食品などで、RSPOのマークがあれば、それは森林破壊にはつながらない商品だということだ。賢明な選択が消費者にも求められている。

文=朝吹大

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