アラブ首長国連邦(UAE)アブダビを拠点とするエティハドは、エミレーツ航空に次ぐ国内第2位の航空会社だが、その野心は常に大きかった。2003年の創業以降、エアバスの超大型旅客機「A380」10機を含む115機を購入。2017年の搭乗者数は1860万人で、世界100カ所へと乗客を運んでいる。
しかし利益はなかなか上がらず、経営は赤字続き。先月発表された2017年の決算では、損失額は15億2000万ドル(約1700億円)に上った。ただし、19億5000万ドル(約2200億円)の損失を出した2016年と比べると改善とも言える。(同年の大規模損失は、原油の価格の下落により、石油に大きく依存する湾岸諸国での旅行者が減ったことが原因と考えられている)
エティハドの抱える財務問題はこれだけではない。同社は「株式アライアンス戦略」として、6つの航空会社に投資していた。しかし、その中核をなしていたアリタリア航空とエア・ベルリンはともに破産。アリタリアは事業を続けているものの、エア・ベルリンは2017年10月に全便の運航を停止た。エティハドは、その他の航会会社4社の株式を今も所有している。
エティハドのトニー・ダグラス最高経営責任者(CEO)にとって、これらはあまりに大き過ぎる痛手だ。ダグラスは、世界での同社の事業規模を縮小しようとしているとみられる。エティハド航空は既に、Rで始まる恐ろしい2つの言葉、つまり経費削減(retrenchment)と組織再編(re-organization)を発表している。
また、エティハド航空グループ(EAG)は、コストを削減して生産性と売り上げを改善するための組織の見直し・再編の一環として、事業を7部門に分割する予定だ。
エティハドが抱える約2万人の従業員のうち、客室乗務員と地上係員を含む1000~3000人が削減されることも発表された。また、同社は「周辺的なルート」とする路線の運行を既に取りやめており、一部の旅客機を引退させた後も後継機を準備していない。同社が所有する10機のA380機は長距離便で人気だが、燃費が悪く運用費も高いため、その地位も危ういかもしれない。エティハドの有償座席利用率は78.5%であること(世界平均は81.5%)を考慮すればなおさらだ。