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日本の不動産最前線

Volodymyr Kyrylyuk / Shutterstock.com

「共用部の清掃がきちんとされていない」「騒音やペットなどのトラブルの際、頼りにならなかった」「積立金の大口滞納があるのに催促せずにほったらかし」「管理費の内訳が不透明」「修繕の見積もりが1社しか提出されない」。

マンション所有者で構成する管理組合の総会では、しばしば管理会社への日頃の疑問や不満の声が噴出することも。こうした不満から、管理会社のリプレイス(交替)を検討するマンションがしばしば見受けられる。「平成25年マンション総合調査」によれば、管理会社を変更した管理組合は18.3%だった。

管理費の削減が行き過ぎると…

こうした不満は主に、前述した課題に対応する管理会社の担当者(フロントマン)に向けられたもの。フロントマンは理事会との窓口となるサポートの中核であり、管理会社のフロントマンの力量次第によって、管理組合が受けられるサービスの中身に大きな差が出る。

管理組合のリプレイスを薦めるのは、たいていの場合、成功報酬型のコンサティング会社で、「年間削減管理費の50%」などの成功報酬としている。すると、このコンサルティング会社は、管理費を削減すればするほど儲かるため、とことん削減に走りがちだ。

ありがちなのは、売主系列の管理会社から、ローコストが売りの独立系管理会社に変更するパターン。さらに、清掃業務の時間など細かく見直しどんどん削減していく。これで年間数千万の管理費削減を実現し、コンサルティング会社は千万単位の報酬を受け取る。

ところが、管理費が下がって一見万々歳のように思えたものが、後になって様々な問題が浮かび上がる。それは、管理のレベルが著しく下がることによる機能不全からくる「住民の不満」だ。

例えば清掃時間を削減しすぎたあまり、かつてのようには清掃が行き届かず、マンション内が荒廃するなど。他にも「以前は共用部の電気交換は管理会社がやってくれていたのに、やってくれなくなった」「ゴミの整理が以前より雑になった」「管理組合広報などの投函をしてくれなくなった」といったサービスの質の低下に住民が不満を爆発させることになる。

さらには「部屋の蛍光灯の交換作業」「自治会の寄付受付」「マンション前の道路清掃」「残業」「雪かき」「世間話の相手」「備品購入」など、契約内容には含まれないものの、以前の管理人が好意でやってくれていたことについてサービス提供がなく不親切だと不満を漏らす住民も出てくる。

さらにまずいのは、こうした不満を管理会社に伝えると、1年更新の管理契約を、管理会社の側から更新拒絶されるケース。ただでさえぎりぎりの利益で仕事を受け取っていたところ、さらに過剰なサービスを求められても困るというわけだ。こうなると、また1から管理会社を探さなければならず、一度下げた管理費を再度アップさせる手間も発生する場合は非常に面倒だ。

結果として管理組合は数千万のコストを支払い、かえって住民の不満が爆発することに。このような状況で、いたたまれなくなった理事長やリプレイスを推奨してきた理事は退任し、住民との関係が悪くなったり住みづらくなったこともあって、引っ越してしまったケースを何度も目にしてきた。

「報酬は、削減できた管理費の50%です」といった、削減できれば一定割合を払い、できなければ1円も払わなくていい管理費見直しのコンサルティング会社の提案は、一見魅力的に思える。成功報酬なら、管理組合が全くリスクを負わずに収支改善に乗り出せそうな気がするし、総会での住民への説明もしやすそうだ。

文=長島修

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