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2018.02.22 07:30

不動産格差がより鮮明に 「駅からの距離」でここまで変わる

Cityscape/a.collectionRF / gettyimages.com

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来月(3月)半ばには、平成30年地価公示が取りまとめられ公表されるが「不動産格差」がますます拡大していることが明らかになるだろう。

地価公示とは、全国の標準地2万6000地点について毎年1月1日時点の「正常な価格」を判定し公示するものだが、昨年の地価公示では、商業地・住宅地とも「下げ止まった」「上昇地点が増えた」といったニュアンスの報道が大半を占め、全国の地価に力強さが戻ったかのようなイメージを持った方も多いだろう。

しかし実態は大きく異なる。例えば商業地では東京・銀座の一等地が平米あたり5050万円を記録し、1990年バブル期の3850万円を30%以上も上回ったのに対し、大阪の一等地は平米1400万円と、バブル期の3500万円の40%程度の水準に過ぎない。

名古屋の一等地も平米1500万円だったが、バブル期には2800万円だった。大阪・名古屋の商業地はともに回復軌道にあるのは間違いないものの、その力強さは東京のそれに遠く及ばないのだ。いかに東京不動産市場に一極集中してマネーが集まっているのか、その格差が鮮明となったわけだ。

また全国の住宅地は前年比0.02%プラスと、リーマン・ショック直前の2008年以来9年ぶりに上昇したが、1万7909地点のうち上昇は34%、下落は43%と、ここにも大きな格差がみられた。通勤や買い物に便利な駅徒歩圏内の地価が上がる一方で、駅から離れた利便性の低いところの地価は確実に下落している。

地価下落といえば地方をイメージしがちだが、住宅地における下落率全国トップの地点は、東京都市郊外に位置する、千葉県柏市だった。柏市といえば、千葉県北西部に位置する典型的なかつてのベッドタウン。都心からおよそ30km、ドアツードアで1時間~1時間30分程度に位置する。こうしたベッドタウンには主に1960年代~80年代にかけて、都心部で仕事をする、団塊世代を中心とした人口ボリュームゾーンのサラリーマンが住宅を求めて一斉に入居した。

戦後の高度経済成長期には、地方から出てきた若年層が仕事を求め大量に都心部に流入することによる深刻な住宅不足の中で、都心部から外に向けて大規模な住宅団地が建設された。そこに住宅購入適齢期である30歳代後半を中心としたサラリーマンが一気に入居した経緯がある。

ところで、マイナス8.5%と、全国下落率ナンバーワンを示したのは「柏市大室」のとある地点。ここは、かつて大手不動産会社が開発した約1600戸(開発当初は1500戸)の大規模分譲地だ。開発時のコンセプトは「上場企業に勤務する課長とその家族が住む家」として価格や間取り設定を行い、1980年から分譲が開始される。

そのマーケティングはうまくはまり、都心勤務の中間管理職会社員が一斉に入居した。広い道路、レンガとアイビーなど植栽による外構、統一された街並み景観などが当時大きな話題となり「第一回緑の都市賞」(財団法人都市緑化基金、読売新聞社主催)にも入選。当時の平均販売価格は4608万円、土地面積197.33平方メートル、建物延床面積127.30平方メートルと、周辺物件に比べ土地建物共に大きく価格も1000万円ほど高額であった。
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文=長嶋修

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