しかし経年により、建物の老朽化と共に住民も70歳代が中心と高齢化し、柏や柏の葉キャンパス等の駅近のマンション、都心マンション、介護施設などに移動。なかには地方に帰る、子供との同居で離れるパターンも。最寄りの駅である北柏よりバスもしくは自家用車の利用が必要な立地であり、利便性に難があることが嫌われているのと同時に、かつてと比べて住宅購入ボリューム人口が圧倒的に少ないといった人口動態の影響を大きく受けている格好だ。
柏市の住宅地域全体における、一年間の変動率はマイナス0.9%で横ばいだが、地点によってものすごい格差があることを如実に物語るのは柏市内の「立地間格差」だ。例えば柏駅前や駅周辺の中古マンション価格はリーマン・ショック以降上昇トレンドにあるが、駅から1分離れるたびに様相は変わってくる。
さくら事務所の解析によると、08年時点では、柏駅から1分離れると中古マンション価格は平米あたり8000円程度の下落をしていたが、17年では1万6000円以上もの下落を示している。住宅購入層の絶対数や取得能力に対し、住宅数が圧倒的に多いため、より選別が強まり「価格維持ないしは上昇を続ける駅前・駅近物件」と「ますます弱くなる利便性に難のある物件」に、ベッドタウン内でも大きな格差が生じているのだ。
こうした格差はベッドタウンにとどまらない。都心7区(中央・千代田・港・新宿・渋谷・目黒・品川区)の中古マンションにおいても、駅から1分離れると08年には平米あたり約8000円下落していたが、17年には1万6000円以上の下落を示している。
このように、都心でも都市郊外でもそれぞれ、立地によって大きな格差が生じている各所でフラクタル構造がみられるのが昨今の不動産市場の特徴であり、この傾向は今後、本格的な人口減少や少子化・高齢化が進展する過程でますます鮮明になるのは自明だ。