結果が示す「メカニズム」
メタ分析の結果からは、森林浴と健康促進の関連性についての説得力あるメカニズムがいくつも示されている。なかでも明確な関連性があると思われるのは、緑に囲まれた空間にいることが、身体的活動と社会的交流を促進すること、日光への暴露を増し、公害・汚染源との接触を減らすことなどだ。これらは全て、さまざまな形で健康を促進するものだ。
さらに、明白な関連性という点では上記の事柄には及ばないものの、微生物への暴露を増すことが免疫系の強化につながり、慢性疾患や早期死亡のリスクを低下させるという「旧友の仮説」によっても、緑と健康の関連性を説明することができる。
そのほか、樹木が放出する化学物質も、さまざまな形で免疫系に影響を与えることにより、人間の健康に役立っているとみられる。「森林浴に関する文献の多くは、樹木が放出するフィトンチッド(抗菌性のある揮発性の有機化合物)が、森林浴に伴う健康生成論を説明する可能性がある」という。
研究チームは、19世紀から都市に公園や緑地が整備されてきたのは、人間が当時から健康と緑の関連性を認識していたためではないかと指摘。日常的に緑に接することがない人たちには薬に加え、緑を「処方」することを提案している。