今回は、金融教育が、実際の個人資産にどの程度の影響を与えるのかを説明しよう。
「運用」したら、お小遣いはこんなに増える
もうすぐ夏休みが始まる。お盆に帰省すると、祖父母が子どもにお小遣いをくれる家も多いだろう。年末年始なら、集まった親戚たちから子どもたちがお年玉をもらう。子どもたちは大喜びだ。
ところで、彼らは受け取ったお金をどうするのだろう?
この時、親が「貯金しなさい」というのか、「運用しなさい」というのかで、十数年後の子どもの金融資産に差がつく。
具体的に計算してみよう。例えば四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)を学習し終わった小学校4年生(9歳)から大学を卒業する22歳までの14年間で、以下A君とB君の資産はどうなるだろうか。
【A君】毎年1万円ずつ、年初にTOPIX(東証株価指数)に投資する。
【B君】同じ期間、毎年1万円ずつ貯金する。
年間データがある最新年の2017年に大学を卒業すると仮定して逆算すると、小学校4年生は2004年。その年の年初から毎年、1万円でTOPIXを買っていくとする。なお、ここでは議論を単純化するために手数料や配当は考慮しないものとする。また、日本における預金金利はほぼゼロに等しいので、金利も同じく考慮しない。
さて、14年間でどれだけ差がつくだろう?
2017年時点で、A君の口座には21万6263円、B君の口座には14万円の残高があった。
金額が小さいため、それほどの差がないように感じられるかもしれないが、前者は後者よりも54.5%多い、つまり1.5倍以上の差がついたことになる。
現金は銀行に預ける以外にも、資産運用に回すという選択肢もあり、時としてお金が働いて更にお金を生む可能性もある。もちろん、株式はリスク資産であり、タイミングによってはマイナスになることもあるが、こうした知識があるかどうかで、人生においても大きな変化をもたらすことが少しはご理解いただけるのではなかろうか?
日本においても海外諸国と同様に、小学生の頃からお金について少しずつ学ぶ環境が整備されていくことを期待したい。