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Elnur / Shutterstock.com

リーダーシップの地位にいる人へのアドバイスには、さまざまなものがある。しかしそもそも、こうした地位に上り詰めるまでの実践的なアドバイスははるかに少ない。

より客観的で公平な採用方針が用いられるようになった現代では、トップへの道筋は既に確立されていると思われがちだ。しかし実態は、前途有望なキャリアでさえも脱線させてしまうような落とし穴がたくさんある。

ビシャル・アガルワルは新著『Give to Get(得るために与える)』で、こうしたギャップを埋めることを試みている。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)やゼネラル・エレクトリック(GE)で働いた経験や、友人・同僚などのアドバイスを基にした同著は、故マーク・マコーマックの定番書『ハーバードでは教えない実践経営学』の更新版とも言える。

同著にはところどころ自己開発のマニュアル本のように感じるところもあるが(読者に対し、せわしなくて驚きやすく、意思決定に弱い「ヤギ」ではなく、常に戦う準備ができている「ライオン」になるよう諭すところなど)、役員の地位を志す人が心にとめておくべき知恵が詰まっている一冊だ。

アガルワルは、例え話として高級SUVのレンジローバーとトヨタのプロボックス(発展途上国で人気の安価なステーションワゴン)との衝突になぞらえ、役員が真正面からの対立を避けるべき理由を説明している。「たとえ勝ったとしても、それにより受けるダメージの方が大きい。評判とキャリアの寿命が傷つくからだ」とアガルワル。同書では例え話や逸話が多く活用されている。

アガルワルはまた、「ステークホルダー(利害関係者)マップ」と呼ぶものも強調し、役員は周囲に耳を傾け、自分自身だけでなく他者のためにも人脈を作らなければならないと主張している。他者のための人脈作りは特に重要だ。アガルワルも認めるように、ビジネスパーソンの多くは、関係性を失うことを恐れて自身のネットワークを過剰に守りたがる傾向がある。アガルワルは「私はこの考え方を受け入れない。寛大になり、人をつなげる『コネクター』になること」と書いている。

しかし同著の中心となるメッセージは、タイトルにもなっている「得るためには与えなければならない」だ。アガルワルは次のように書いている。「チームや同僚、ビジネスパートナー、そして顧客からも受け入れられ、信頼され、尊敬されたければ、こちらから相手を受け入れ、信じ、尊敬し、自分が持つ価値あるスキルの中でも最高のものを与えなければならない。相手にしてもらいたいことは、あなたからしてあげなければならない」

より多くの若い管理職が、キャリアの成功に必要なのはビジネススクールの学位や、履歴書に載せたえりすぐりの役職だけではないことに気がつけば、アガルワルはこうした人々に、そしてビジネス全般に対して、優れた貢献をしたことになるだろう。

編集=遠藤宗生

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