ヨーロピアン・クラブは、アイルランドの首都ダブリンからわずか約30マイル南下したブリタス・ベイという海岸沿いにある。開場が1987年と非常に歴史が浅いのに、世界のトップ100にランクインした素晴らしいリンクスだ。
パット・ルディはリンクスデザイナーとしては世界有数の設計家である。69年を皮切りに、リンクスコースを中心として36ものホールを設計してきた。
しかしながら、テキサスにあるチャンピオンズ・ゴルフ・クラブに触発されて「自分自身の設計したコースを所有する」という夢の虜になった。チャンピオンズ・ゴルフ・クラブは58年、ジミー・デマレットとジャック・バーク・ジュニアがデザインしたゴルフ場である。
パット・ルディが伝統的なリンクスと現代ゴルファーの技術進歩に耐えうる場所を求め、ヘリコプターでアイルランド全体を探しに探して、僥倖として出合ったのがブリタス・ベイだ。細部にまでこだわってつくられたコースは、ドナルド・ロスが設計したアメリカのパインハースト・ゴルフ・リゾートNo.2と並び称されるほどの名コースとなっている。
コースの歴史は浅いが、既に逸話は豊富だ。例えば67というコースレコードのホールダーはタイガー・ウッズであり、当地で開催されたアイルランドオープンアマチュア選手権を制したのはローリー・マキロイだ。また、2007年と08年にはアイルランド・オープン選手権の開催地となり、勝者となったパドレイグ・ハリントンが、翌週に行われた全英オープンも制覇している。
彼は少年時代からこのリンクスで技を磨いていたそうだ。パット・ルディのコース設計が、全英オープン開催地のカーヌスティ・ゴルフリンクスやロイヤル・バークデール・ゴルフ・クラブとなんら変わらない難しさだということを証明していると言える。
リンクスの伝統を受け継いでつくられたバンカーの数々が、プレイヤーを苦しめる
ちなみに07年はアイルランドにてプレーオフを行った翌週、全英オープンもプレーオフでの決着となり、08年は2位に4打差をつけて優勝した翌週に全英でも4打差での優勝という、スコア差まで一緒だったという落ちもついている。
リンクスとしてもトップ選手に対応できる7377ヤードから、5434ヤードまで4つのティーのオプションがあり、さまざまな技量を持つゴルフプレイヤーが楽しめるコースとなっている。