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海洋環境改善で目指す「持続可能な社会」

Rich Carey / Shutterstock.com

今年5月、英国はヘンリー王子とメ―ガン妃のウエディングに沸き、ブレクジットの混沌を忘れたかのような晴れやかな話題がひととき続いた。

離婚歴や出自をものともせずメ―ガン妃を迎え入れた王室は、常に革新をもたらす古くて新しい英国、いまだ53カ国を数えるコモンウェルスを擁する大英帝国の先進性を、自ら体現して見せたかのように思える。

さて、同じく5月に、エリザベス女王はプラスチック製のストロー、マドラー、綿棒の、バッキンガム宮殿内での使用を禁ずると発表した。メイ首相も使い捨てプラスティック禁止の法制化を発表。BBCで「Blue Planet」というドキュメンタリーを制作したことで有名な生物学者、ディビッド・アッテンボロー卿に女王が共感したかたちだ。


エリザベス女王とアッテンボロー卿(2016年撮影、Photo by Getty Images)

これはもちろん、昨今の研究発表で明らかにされたプラスチックゴミの問題に対応するためである。ストローは英国内だけでも年間85億本も使い捨てられている。プラスチックゴミのリサイクルの回収率は5%以下にとどまり、海洋環境にも多大な悪影響を及ぼしている。

このままいくと、2050年には海の中の生物よりプラスチックゴミの比重が上回る計算だと言われている。そこで英国も、EUやアメリカの一部の州などに続き、使い捨てプラスチックの使用量削減を法制化する方向に舵を切った。

飛躍的に対応が進む中国

海洋資源保護については、英国はかねてより熱心である。2012年のロンドンオリンピックでも持続可能な食糧調達基準を設けた。水産資源に関しては、すべて持続性を証明されたものから調達するとし、持続可能な漁業を証明するMSC(Marine Stewardship Council)の認証(又は同等のもの)を受けたものと、MCS(Marine Conservation Society)のGood Fish Guideが“Best Choice”に選んだ水産物が、オリンピック村での供給を推奨された。

またGood Fish Guideが“Avoid”と記している、資源の枯渇した、または持続可能性が証明できない魚種は、オリンピック村の門をくぐることは許されなかった。この国際漁業認証MSCとレーティングプログラムMCSが機能するよう支えたのが、筆者も先月ロンドンで会議したSustain社などのアドボカシーや市場啓蒙である。

MSCの漁業認証の審査は厳格なことで知られている。本審査は1年~1年半かかり、費用は1000万円程度かかることもある。とはいえ、世界の流れは漁業認証による持続可能性の証明が付加価値となり、商品の競争力そのものも高めるものとなっているため、取得がトレンドになっている。



近年、農林水産省や地方自治体、関連企業などから、MSCの漁業認証取得に向けた助成金の設定などの支援がわずかに見られるようになったが、取得数はまだ3漁業4魚種しかない。日本の漁業管理にも課題があるが、現在議論されている水産改革が進めばより多くの漁業が認証取得できる可能性がある。

しかし、どんなに制度を整備しても、肝心なのは消費者の意識やマーケットの成熟である。消費者がお財布にも体にも優しいものを選ぶのと同様に、環境にも優しい持続可能なものを選ぶ意識の定着こそが重要である。日本はありがたいことに比較的豊かで安全な食に恵まれている。この先の環境保護の概念を培う素地は整ってはいる。

文=井植美奈子

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