傭兵はいらない。伝道師であれ
Airbnbには「インサイド・ファースト」というマネジメントの基本方針あり、従業員を単にサービスを作り広めるだけではなく、Airbnbの価値観を世に伝える媒体的な存在として捉えている。実際に宿泊客をもてなすのはホスト。しかし彼らに使命を伝播するためにも、まず従業員の共感度を上げることが鍵になるという。
例えば、新たに人を採用する際には、価値観に心から共感しているかどうかを選考の過程で徹底的にチェックする。
「会社の規模が大きくなり、成功しているのが外から見えてしまうと、有名な企業で働くことや、お金を稼ぐことだけを目的に入社したいと考える人が出てきます。彼らは例えるなら『雇われ兵』です。しかし、そのような人たちは採用の際にはフィルタリングする必要があります。我々の仕事が世界に与えるポジティブなインパクトを心の底から信じている『伝道師』を探す必要があります」
ディテールが大切
その上で、ホストのモチベーションを上げる仕組みが、デザインとテクノロジーの力を借りて綿密に設計されている。一例が、インセンティブの設計。レビューの評価が高いホストは優先的に表示される。さらに規模範的なホストには「スーパーホスト」としての認定マークが与えられる、など、ホストが自主的にホスピタリティを上げたいと思うようなシステムが構築され、サイトのUXデザインにも組み込まれている。
「認定マークなどは些細なことに思えますが、優れたホストになろうと努力するモチベーションになります。デザインとは、単にウェブサイトの見た目に限ったことではありません。どうすれば顧客を虜にすることができるか、サービスの設計そのものです」
ブレチャージク自身ははハーバード大出身のエンジニアだが、の3人の創業者のうちブライアン・チェスキーとジョー・ゲビアの二人は美大出身のデザイナーだ。
「デザイナーのアプローチからは、自由な発想や、顧客の感情の理解など非常に多くのことを学ぶことができます。ディテールの全てが重要です。Airbnbにある文化と信念をスケールさせることができるのです」