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AI通信「こんなとこにも人工知能」

Ulza / Shutterstock.com

国内外を問わず、児童虐待事件が後を絶たない。今年3月、両親の虐待により死亡した船戸結愛ちゃん(5歳)の事件の悲しみはインターネット上で広がり続け、6月には、著名人数人が「#こどものいのちはこどものもの」というハッシュタグをツイッター上で拡散。虐待防止キャンペーンを展開し始めた。

同ハッシュタグがついたツイート上では、救いを求める自らの子を衰弱死させた両親への批判コメントが並ぶ。一方で、社会的連帯のもと虐待を根絶しようという意見や、親たちが抱いたことがある子供への苛立ちや直情、言い換えれば「いつか自分が加害者になってしまうかもしれない」という子育てへの不安が綴られている。

核家族化した現代社会、また格差や離婚率が上昇している社会状況においては、子供を抱える親の金銭的、時間的、肉体的、精神的ストレスは比例して大きくなるしかない。もちろん、子供を虐待する親は許されるべきではないが、構造的に虐待が生まれざるをえない状況があるのもまた事実である。

AIロボットが話相手に

北東アジア諸外国では、そんな“親と子”を取り巻いた問題にテクノロジーが介入し始めている。例えば先頃、中国・武漢市に新設された保育施設・爱满荆楚保育園には、「留守児童」のための、AIロボットおよびシステムが導入された。

留守児童とは、親が仕事や出稼ぎに出かけてしまい、自宅でひとり取り残される子供を指す。「統計によると中国には7000万人ほどの留守児童がいる」(中国・ロボット業界関係者)そうで、中国を代表する社会的問題になっているという。

爱满荆楚保育園に導入されたAIロボットには、音声・感情認識機能が搭載されていて、子供たちの声や声紋から孤独感や抑うつ、焦りなどの感情を察知することができるようになっている。適切な感情を読み取った後、ロボットは子供たちの話し相手となる。

親が家にいない留守児童は家庭で話す機会がどうしても少なくなってしまうが、適切なコミュニケーションをとることで心理的なガス抜きの役割を担うというのだ。すでに、ロボットと会話をするようになってストレスが軽減され、成績も良くなった留守児童もいると報じられている。

一方、韓国では通信大手・KTが展開する「AI育児サービス」が好評を得ている。AIとARを駆使したサービスには、数学や英語、トイレトレーニング、歌とダンスなど、さまざまな事柄が学べるプログラムが提供されている。

ロイター通信の取材に答えた韓国の主婦は、「子どもがひとりでいる時間が多いのですが、AIが母親の役割を一部にない、友達のような役割もしてくれる」と利用した感想を語っている。

ひとつの選択肢として

それらテクノロジーは、虐待を防ぐツールにもなりうるだろう。中韓のサービスは、「いかに親が注ぐべき時間と愛を自動化するか」という点に着目されているが、それは裏を返せば、親が精神的ストレスから解放される時間をつくることにも繋がりうるからだ。

「機械に子育てをまかせるなんて」と異論も噴出しそうだが、親の時間がますます失われていく現代社会にあって、虐待をなくし、親と子の適切な関係と距離を維持していくための手段は限られてくる。上に紹介したアイデアやサービスも完ぺきではないだろう。それでも、テクノロジーの力を借りるというのも、ひとつの選択肢になりうるのではないだろうか。

文=河 鐘基

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