ケミストリーでさらに開かれる才能
30代の不遇な時期、駐仏時代に知り合った仲間と夜の六本木で頻繁に会っていた。
劇団四季の創設者で演出家の浅利慶太さん、田辺エージェンシー創立者の田邊昭知さん、丸井の創業者一族の青井忠雄さん、作曲家の村井邦彦さん、音楽評論家の安倍寧さん、コーディネーターの加藤タキさん……。その頃はみな若かったが、のちに一つの時代を築いたレジェンドと呼ぶに相応わしい人たちになっている。
ヨーロッパに行ったことが、自分の人生の中で大きな幅を持たせたのは確かだと思う。日本に戻りさらにそれが強固なものになりあらゆる事に繋がっていった。人が人を引き寄せ、才能が混ざり合い、ケミストリーが起き、一人一人が開花していった。
重要なのは、アメーバ的な柔軟性を持ち、自らがノード(中心)となってネットワークを広げながら、時代に必要な才能を伸ばしていくことだと思う。
ネットワークを広げる時に、お互い影響し合える人や反映し合える人に出会う、これもまた才能だ。そういう人たちの共通点は、わがまま、個性的、そして適度にヤキモチ焼きだ。これが、お互いの才能に化学反応を起こす。才能は、突き詰めると、人間らしさが滲みでるその先のものなのかもしれない。
こう考えてみると、理系文系、国、職種、肩書きと、いくつものボーダーを越境してきた。そのたびに才能が開かれ、今がある。
私なりに考えた、新しい何かが生まれる方程式がある。それは、「才能 × 努力 × 運 × 仲間 × Something」だ。
The IDEI Dictionary 〜変革のレッスン〜
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