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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

「地域を救う人、事業」。毎年、この特集で気づかされる「人間の本能」がある。小さな可能性を見つけて、それを広げる努力ができることだ。環境は千差万別。忘れ去られた伝統や習慣から最先端のテクノロジーまで、ヒントは全国に落ちている。アドバイザリーボード10組が推薦・投票した全国の事例から、得票数が高かったものを全6回に分けて紹介しよう。最終回は九州・沖縄地方。


宮崎県新富町 新富町役場+こゆ財団
──ライチと起業家、「役場が生んだ財団」の改革

宮崎県児湯郡新富町は、2017年に一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(こゆ財団)を設立。キーパーソンは、財団設立の発起人でもある同町役場の岡本啓二だ。ふるさと納税の寄付額を1年間で2倍以上の9億3000万円に増やし、6%を財団の運営資金として活用。岡本は立ち上げと同時に財団に出向し、役場との橋渡しを行っている。

財団は高糖度のライチを1粒1000円の「楊貴妃ライチ」としてブランド化し、その販売売上額を起業家育成に投資する。プログラムの修了者からはすでに農業などの分野で起業家が生まれており、彼らが耕作放棄地を活用したり商店街の空き物件を使って開業をしたりすることで、街に変化をもたらすビジネスが生まれている。


こゆ財団が特産品のライチを使って商品開発したビール

財団が「チャレンジしやすい土壌づくり」に取り組み、これまでの行政にはなかったスピード感で地域に“新しい経済”が生まれ始めている。

宮崎県延岡市 延岡市役所
──世代を超えた「未来会議」と持続可能な島づくり

宮崎県延岡市の離島・島野浦は水産業が強みの地域だが、高齢化が課題。そこで、市の観光課に勤める三浦久知と民泊「遊季」を営む結城豊廣をはじめとする年輩の観光ガイドが、結城嘉朗ら水産業の若者とともに島を盛り上げるために始めたのが「島野浦未来会議」だ。

観光ガイド主導のトレッキングツアーと海産物を使ったBBQの複合イベントによって100人以上を集客するほか、地域初のクラウドファンディングを行い参加費1万円にもかかわらず20人以上を集めたプライベートビーチツアーを実施。水産業と観光業、若者層と年輩層の協力による企画が次々と生まれている。

最近は島で捕れた魚を食べながら漁師と交流するイベントを行い、「生産者の顔が見える水産業」で島の価値を高める。その場限りのイベントになることが多い補助金による観光客誘致でなく、自ら稼ぐ持続可能な地域づくりを目指す。

沖縄県沖縄市 ハナハナワークス
──ITスクールから始まるエコシステム、シャッター街を再生する


カフェでは、小学生を対象にしたプログラミング教室も実施している

ICTサービス企業・ハナハナワークスを運営するナカムラマコトは、急成長するアジア諸国にアクセスしやすい沖縄のスタートアップ誘致可能性に注目。2016年に市の創業支援事業を受託して開いたのが、コワーキングスペース「スタートアップカフェコザ」だ。

ここでは1年半で100人以上の起業を支援するほか、事業化を視野に入れたプログラミングスクールによってこれまでに200人以上のIT人材を輩出。卒業生にはハナハナワークスの仕事を受託し、起業資金を貯める機会を提供する。

スクールに通う生徒が増えたことで、商店街には10以上の飲食店が開業。活気を取り戻しつつある。ほかにも県内4つの銀行と提携し、観光業の障害だった現金決済からスマホ決済への移行を推進。規制緩和でスタートアップに魅力的な環境をつくっている。17年、総務省ICT地域活性化大賞奨励賞を受賞。

文=Forbes JAPAN 編集部

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