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2018.06.09

中国テック界の第3勢力「美団」が企業価値3兆円超えの理由

Nickolay Vinokurov / shutterstock

中国では、長らくアリババとテンセントの2強がB2Cのオンラインサービス市場を独占してきた。しかし、消費者のオンライン消費が拡大を続ける中、新興勢力が台頭しつつある。

その中の1社「美団点評(Meituan-Dianping)」は、昨年企業価値が300億ドル(約3兆3000億円)に達した。美団アプリは2強に迫る「スーパーアプリ」へと成長しつつある。

北京本拠の美団はグルーポンと、レストラン評価サイトの「Yelp」、ウーバーイーツを組み合わせたようなサービスを提供しており、ユーザーは美団アプリでレストランの口コミを投稿したり、デリバリーを注文することができる。

他にもホテル予約や映画チケットの購入、ウェディング写真の予約などが行える。美団がオールインワン型のサービスへと拡大を続ける中、テンセント傘下の「WeChat」との競争も激化している。

ルーツは中国版グルーポン

美団は、2010年に連続起業家のWang Xingによって設立された。Wangが当初目指したのは、レストランの食事を事前予約したり、カラオケをグループで予約することで割引きを受けられる中国版グルーポンの実現だった。

その後、フードデリバリーなどのサービスを次々と追加し、ワンストップ型アプリへと進化した。2015年には中国版Yelpの「Dazhong Dianping」と統合し、評価額は150億円に達した。

「中国では、グルーポンモデルの競争は非常に激しい。ライバルに勝つためには、垂直展開により総合プラットフォームを目指し、ユーザーのエンゲージメントを高める必要がある」と上海本拠の投資会社「Gobi Partners」のパートナーであるKen Xuは話す。

現在39歳のWangの推定資産は41億ドル(約4500億円)だ。コンサルタント会社「Trustdata」によると、美団は食事の割引きクーポンを配布し、巨大な物流網を中国全土に築きアリババ傘下の「餓了麼(Ele.me)」を追い抜いた。美団は昨年、2000億元(約3兆4000億円)の中国のフードデリバリー市場で46%のシェアを獲得したという。

また、ホテル予約件数では「Ctrip」を上回った。調査会社「Pacific Epoch」によると、美団が中小都市の消費者らに格安プランを提供しているのに対し、Ctripは5スターホテルなど高級ホテルの予約で依然として優位に立っているという。
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編集=上田裕資

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