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旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

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ノマド・ワーカー仲間である起業家のアメリカ人が、1カ月ほど過ごした経験から大絶賛していた街、それがポルトガルのリスボンだ。モロッコのマラケシュ出張から、ヨーロッパ拠点のアムステルダムに戻る途中の数日間ではあったが、2月下旬のリスボン訪問では、観光地および居住地としての街のポテンシャルを感じることができた。

2007年のギリシャの財務赤字発覚から、同国国債の格付けの引き下げ、ユーロ為替の下落、そして欧州経済と世界経済の景気悪化をもたらした、欧州ソブリン危機。

約10年前の出来事とはいえ、ポルトガルも含めた各国が打撃を受けて深刻な財政赤字を抱え、「PIIGS」(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)という不名誉な名称で呼ばれていたことは記憶に新しい。

しかし、2013年以降、各国とも最悪な状況を脱し、とりわけポルトガルでは景気回復が進んだ。ポルトガルの2013年の失業率は16.4%であったのに対し、2017年には9%まで回復した。GDP成長率は1%前後の低成長ではあるが、1人あたりのGDPは2012年以降、緩やかに回復している。

2017年9月、アメリカの大手格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは、ポルトガル国債の格付けを「ダブルBプラス」から、投資適格の最低水準である「トリプルBマイナス」に引き上げた。

ギリシャなど「PIIGS」の他国と比べて、ポルトガルは順調なスピードで景気回復を果たした。専門家の評価によると、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)で構成される、通称「トロイカ」の支援プログラムのもと、公務員の賃金引き下げや増税を含む財政再建や、輸出の伸びなどが背景にあるとされる。

また製造業などでは、設備投資による生産性の向上を図った企業も見られたようだ。ファッション業界においても、アパレルや靴などの生産拠点として注目されつつある。

ポルトガルのアントニオ・コスタ首相は、今年1月に開催された世界経済フォーラム(ダボス会議)での「Euronews」のインタビューでは、賃金や年金の向上はすでに進んでおり、さらなる経済成長に向けての意欲を示した。

文=MAKI NAKATA

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