観光業がもたらす影響の大きさは、国によって異なる。「経済協力開発機構(OECD)観光白書2018」によれば、同業界によって恒常的に健全な経済成長が見込めるのは、スペインだ。温暖な気候や人気のビーチ、活気あふれる文化、効率的なインフラは昨年、世界第2位となる約8200万人の外国人旅行客を呼び込んだ。スペイン政府によれば、インバウンド旅行客の消費総額は、約870億ユーロ(約11兆円)だった。
この金額から考えれば、観光業がスペイン経済にとって極めて重要なものであることは間違いない。OECDのデータによると、2016年の同国の国内総生産(GDP)に占める観光業の割合は、約11%だった。また、隣国ポルトガルも同年における観光業への依存度が高く、同9.2%だった。
一方、製造業とサービス業が大きな割合を占めるドイツと日本では、観光業の寄与度はそれほど高くはない。GDPに占める割合は、ドイツでは3.9%、日本ではさらにそれを下回る1.9%だった。また、米国では2.7%だった。
OECD加盟国のGDPに占める観光業の割合は、以下のとおりとなっている(一部加盟国のみ紹介、データは2016年)。
・スペイン*/11.1%
・ポルトガル/9.2%
・メキシコ/8.6%
・アイスランド/8.4%
・フランス*/7.1%
・ギリシャ/6.4%
・イタリア/6.0%
・トルコ/4.3%
・ドイツ/3.9%
・英国/3.7%
・オーストラリア/3.2%
・米国/2.7%
・カナダ/2.0%
・日本/1.9%
・ポーランド/1.2%
*スペインのデータは間接的影響、フランスのデータは内部観光消費(国内旅行・インバウンドの旅行者による消費)を考慮。