ビジネス

2018.06.01

「集団的個人」の時代、クリエイターたちが実践すべき働き方とは

クリエイティブラボ PARTYのCCO 伊藤直樹

「3日前に完成したばかりなんですよ」

畳の匂いがほのかに香る鎌倉の一軒家で、クリエイティブラボ PARTYのCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)伊藤直樹氏はそう話す。代官山にオフィスを構えるPARTYは、クリエイターたちに対する新たな働き方の提示や、クリエイティビティの最大化などを目的に、鎌倉に新しい活動拠点を構えた。

鎌倉駅から徒歩15分程度の場所にあるその拠点は、旧北条家跡地で、当時の海軍大将が建てた築70年以上の古民家。名前は「北条さんち」。その物件を、TOKYO WORK DESIGN WEEK発起人の横石崇氏がプロデュース、建築設計はブルーボトルコーヒー清澄白河などを手がけたスキーマ建築計画の長坂常氏が手がけ「コレクティブオフィス(編注:複数の企業やフリーランサーが入居し働ける場所のこと)」としてリノベーション。CEKAI クリエイティブディレクターの井口皓太氏、そしてPARTYが共同運営を行う。


「北條さんち」の内装はとてもシンプル。二階にも個人デスクが広がる。

なぜPARTYは、鎌倉にセカンドオフィスを構えたのか。その理由を尋ねると、伊藤氏、ひいてはPARTYが考えるクリエイターに対する考え方が見えてきた。

──今回PARTYにとって2拠点目となるオフィスを鎌倉に、しかもコレクティブオフィスとして設けました。その意図を教えてください。

今はシェアリングエコノミーの時代。知識やアイデアもお互いにシェアし合う時代だからこそ、会社以外の人たちが共存する空間で仕事をしたほうが楽しいじゃないですか。しかも、優秀なクリエイターであるほど、会社や団体といった組織への帰属意識がないもの。さらに、本来はオフィスにも縛られたくないはず。だから、うちの社員たちも働く場所を選択できるよう、新たに拠点を設けたという経緯です。



──いまは出社せずとも、自宅をはじめ色々な場所で働くことを許可する企業も増えていますが、PARTYはあえてオフィスを別の場所にも作ったと。

実は、PARTYは原則、在宅ワーク禁止なんです。いろんな場所で働くことをよしとしていますが、自宅だけは、ダメ。その理由は単純で、コミュニケーション量が圧倒的に少なくなるからです。

うちではプロジェクト単位で5名くらいのチームを組んで仕事を進めるスタイルなのですが、円滑に、かつより高いクリエイティビティをその集団で発揮するためには、血が通った人とのコミュニケーションが必須。これは、自分の経験上強く思うことです。

一方で、社員には、会社の仕事にコミットする量を各々が決めて申告できる制度があります。例えば自分の活動時間のうち、PARTYの仕事を7割やって副業を3割します、とした場合は、その7割の時間はPARTYのために仕事をしてもらう。そのかわり、残りの時間は何の仕事をどこでやろうが自由ですよ、と。
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構成=小野瀬わかな 写真=遠藤 分

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