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米国のアリゾナ大学とタウソン大学の研究者らが、電子書籍と紙の書籍の所有が人々にもたらす、心理的違いについてのレポートを発表した。

「消費者は本のデジタル所有をどうとらえているか」と題された論文が先月、国際ジャーナルの「Electronic Markets」で公開された。そこでは電子書籍がもたらす読書体験が、紙の書籍とどう異なるかが記されていた。

アリゾナ大学の研究者によると、調査に参加した消費者は「紙の書籍はデジタルよりも精神的な結びつきを感じさせ、所有の感覚が得られる」と述べたという。読書好きの人々は電子書籍には“本の匂い”がないことを以前から嘆いていた。

また紙の本は本棚に並べることで、自身のペルソナをそこに投影できる楽しみがあるが、電子書籍からはそのような体験が得られないことも重要な違いだ。

回答者らはまた、電子書籍にはファイルをシェアしたり別のプラットフォームで用いられない制限があることに不満を感じていた。出版社によるDRM(著作権管理の仕組み)の導入が、友人らと作品をシェアをする場合の妨げになっている。

出版業界では長年、口コミの効果がヒットにつながると信じられてきたが、電子書籍のDRMは口コミの効果をなくしてしまう。しかし、出版社側の立場としては無制限なシェアを許すと、売上が減ってしまう。紙の本の場合は、回し読みをされるとしても限度があるが、デジタルの場合は無制限に可能だからだ。

しかし、電子書籍には紙の書籍を上回るメリットもあるとレポートは指摘している。テキストのサイズを変えたり、旅先にでも好きなだけ読みたい本を持っていけるのがデジタルの利点だ。

結論として、論文の主任研究者のSabrina Helmは、電子書籍と紙の書籍は全く異なる性質を持つ異なるプロダクトだと述べている。「実用性を重視した“サービスとしての読書体験”を提供するのが電子書籍の役割だ。その一方で、紙の本はより感覚的な豊かさにフォーカスしたアイテムになっている」とHelmは述べている。

編集=上田裕資

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