不安やうつから子供を救うヨガの可能性、研究結果が支持

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米国では学校に通う子供たちも大きなストレスを抱えるようになっている。そうしたなか、これまでにも数々の研究によって、ヨガがメンタルヘルスの維持・改善に役立つ可能性があるとの結果が示されてきた。

米テュレーン大学が実施、心理科学とその行動管理への適用に関する研究分野を専門に扱うジャーナル「Psychology Research and Behavior Management」に先ごろ掲載された研究結果によれば、ヨガとマインドフルネスは子供たちの精神面での発達に効果的だと考えられるという。過去の複数の研究結果をさらに裏付けるものだ。

テュレーン大学のチームが行った研究では、ある程度の不安を抱える小学3年生を無作為に選出。2つのグループに分け、春または秋からスタートする8週間のプログラムに参加してもらった。一方のグループにはヨガとマインドフルネスを実践してもらい、もう一方には一般的に行われているソーシャルワーカーのカウンセリングなどを受けてもらった。

ヨガとマインドフルネスを行うグループは、始業前の教室で行う1回当たり40分のクラスに10回参加。呼吸法の練習や、講師の指示に従って行うリラクゼーション法、年齢に適したいくつかのヨガのポーズを実践した。

チームはまた、研究に参加した子供たち全員を対象に、プログラムの開始前と期間中、終了後にアンケート調査を実施。生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)と生活への満足度を調べた。その結果、ヨガとマインドフルネスを行った子供たちには、心理社会的側面、感情に関する面などいくつかの重要な指標において改善が認められた。

研究結果をまとめた論文の著者、アレッサンドラ・バッツァーノ准教授によれば、チームが3年生の子供たちを対象としたのは、学習内容が高度化し、勉強に対して感じるプレッシャーが強くなるのがこの学年だからだ。

効果を示す複数の報告

子どもから10代までの少年少女に対するヨガやマインドフルネスの効果は、過去の研究でも示されている。数年前に発表された結果では、マインドフルネスのトレーニングを受けた注意欠陥多動性障害(ADHD)の男子児童・生徒には、行動と注意力に関する指標の改善が見られたとされている。

また、全般的な健康状態の改善、うつ症状の軽減に対する効果が期待できるとした別の研究結果も発表されている。

そのほか、マインドフルネスをベースにした8週間のプログラムに参加したことで、実行機能の向上が確認された、マインドフル・ヨガを1年間にわたって実践したことで、自己制御能力が向上したとの報告もある。

新たな研究成果は、全く予想外の結果というわけではない。前述のとおり、ヨガやマインドフルネスが脳の発育や行動、メンタルヘルスに影響を及ぼし得るとした研究報告を新たに裏付けるものだ。

米国の学校では休み時間が減り、美術や音楽、体験学習など子供たちの発達に最も重要な学習機会が減らされ、一方で子供たちのストレスレベルが上昇している。今回の研究結果は、こうした状況から学校が子供たちを助けるための一つの有効な方法を示したと言える。

編集=木内涼子

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