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2018.04.27 17:30

難問山積、イーロン・マスク「トンネル交通計画」の実現性


「トンネルの掘削コストは非常に高額で、1マイル当たり10億ドル掛かるケースもある。トンネル網を構築するためには、掘削コストを10分の1に削減する必要がある」とThe Boring Companyはウェブサイト上で述べている。

同社のトンネルの直径は14フィートで、28フィート近くある現代の地下鉄トンネルより大幅に小さいため、従来よりも早く、低いコストで掘削が可能だとEinsteinも考えている。

「トンネルが小さければより早く、より安く掘ることができるのは間違いない。だが、地域によって地質学的な要件が大きく異なるため、飛躍的と言えるほどコストを削減できるかはわからない」と彼は話す。

地下にはメタンガスも

ロサンゼルスは地震活動が活発な上、地下にはメタンガスやタールが眠っており、通常に比べてトンネル掘削コストは大幅に高くなりがちだ。

Einstein率いるMITのチームは、プロジェクトの仕様や地質学的要因を踏まえてコストや工期を予測する「トンネル掘削の意思決定支援ツール」を開発した。このツールは、主に欧州のプロジェクトで幅広く使われている。

「昨年、私はマスクにこのツールを使ってみることを勧めたが、彼から返答はなかった。コストを見積もるのは、地質や詳細な建設プロセスなど不確定要素が多いために非常に困難だ」とEinsteinは話す。

マスクが考えているような小口径トンネルは、19世紀初頭にロンドンの地下鉄で採用されたが、現在ではほとんど使われていない。

ロサンゼルス郡都市圏交通局の広報担当であるDave Sotero によると、The Boring Companyはロサンゼルスの地下鉄「パープルライン(Purple Line)」をウェスト ロサンゼルスまで拡張する予定で、トンネルの直径は21.5フィート(約6.5メートル)だという。乗客が車両から脱出する必要が生じた場合に備え、3フィート(約90センチ)の余裕を持たせているという。

ロサンゼルス郡都市圏交通局もウェスト ロサンゼルスにおける公共交通機関用トンネルの掘削を計画しており、The Boring Companyに連携を呼び掛けている。「我々は、The Boring Companyと早い段階から協力している」とSoteroは述べている。

しかし、The Boring Companyの地下輸送システムが完成するのはまだ何年も先のことであり、開発費用や利用者数など不明な点は多い。

編集=上田裕資

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