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I write about the future of mobility and evolution of transportation.

イーロン・マスク(Photo by Chris Saucedo/Getty Images for SXSW)

イーロン・マスクはガソリン車の排除や火星への移住を進めるのと並行し、ロサンゼルスに地下トンネルを掘り、渋滞を根絶する挑戦に乗り出した。しかし、技術やコストの面での課題も大きく、専門家らは実現に懐疑的だ。

マスクは、自身が経営するトンネル掘削会社、「The Boring Company」は既存技術よりも早く、安くトンネルを掘削することができると主張している。その根拠は、トンネルの直径が地下鉄用トンネルの約半分の大きさだからという。

トンネルが完成すると、「スケート」と呼ばれる電動プラットフォームを路上からエレベータで降ろし、車両や乗客が入ったポッドを乗せて時速120マイル(約193キロ)でトンネル網を高速移動する。都市間をつなぐ長距離トンネルでは、「ハイパーループ」が時速600マイル(約960キロ)で走行する予定だ。

しかし、トンネルの掘削コストを削減するのは容易ではなく、電動車両の開発はさらに難しいと、MIT教授でトンネルとエンジニアリングの専門家であるHerbert Einsteinは指摘する。

「マスクがトンネル掘削に使う機械は、どれも仕様が標準的だ。トンネルの直径が小さいこと以外は、従来の手法と何も変わらない。目新しいのはポッドくらいだが、これはトンネル掘削技術とは関係なく、車両開発の領域だ」とEinsteinは話す。

マスクのトンネル掘削プロジェクトは、スペースXやテスラ、ソーラーシティに匹敵するほど野心的な取組みだ。彼はロサンゼルスの激しい交通渋滞に長年憤りを覚えており、2013年には自宅とスペースXの本社があるホーソーンを結ぶ405号線の拡幅工事の費用を支援すると申し出たほどだ。

しかし、マスクをもってしても、民間のエンジニアリング会社を設立し、地下輸送システムを開発して採算ベースに乗せるのは無理難題に思える。

「スケートに車両を乗せてエレベータで地下に降ろす上で、信頼性や安全性を担保することがエンジニアリング的には非常に困難だ。また、車両の積み下ろし時間の設計や、大量輸送のために必要なエレベータの数など課題は山積だ」とカーネギーメロン大学の准教授で土木環境工学が専門のConstantine Samarasは話す。

Samarasはスケートの実現には懐疑的だが、マスクの構想には期待を寄せている。「うまくいけば、既存のトンネル掘削機械を使って従来よりも安いコストで高速での大量輸送が可能になる」と彼は言う。

1マイルに10億ドルのコスト

これを実現するテクノロジーを開発するには大きなコストが掛かる。このため、The Boring Companyは今月約1億1300万ドル(約123億円)の資金を調達したことを明らかにした。このうち、1億ドルはマスク自身が出資している。同社は、市西部の地下に2.7マイルの試験用トンネルを掘る許可を既に取得しているが、ロサンゼルス市議会は環境影響審査手続を免除して掘削の早期開始を後押ししている。

The Boring Companyは、ロサンゼルス以外にもシカゴのプロジェクトや、ニューヨークとワシントンを結ぶトンネルについて協議を行っている最中だ。しかし、コンセプト通り掘削できるかは別問題だ。

編集=上田裕資

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