知る人ぞ知るクラウド企業「Pivotal」がIPO、時価総額40億ドルに

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「Pivotal Software」は4月20日、ニューヨーク証券取引所への上場を果たし、時価総額は約40億ドル(約4350億円)となった。この規模のIPOとしては市場の注目度が低いが、その要因としては主要株主であるデル(Dell)の存在と、クラウドインフラストラクチャ市場の認知度の低さが挙げられる。

Pivotalの株価はIPO価格の15ドルから値を上げ、20日午後には2.5%高の15.40ドルをつけ、時価総額は約39億ドル(約4240億円)となった。これは、今年4月に上場した企業向けソフトウェアを手掛ける「Zuora」の2倍で、3月に上場した「Dropbox」の3分の1の規模だ。

しかし、これらの企業が上場初日にIPO価格から20%程度急騰したのに比べると、Pivotalの初日は地味な値動きとなった。その一因は、同社独特の歴史にある。「EMC」が買収したソフトウェアを「VMware」の一部事業と統合し、事業責任者だったRobert Meeが2013年にEMCからスピンアウトしてPivotalが誕生した。

その後、マイケル・デル率いるデル テクノロジーズがEMCを買収し、Pivotalもデル傘下となった。デルはPivotalの株式の約70%を保有するが、議決権ベースでは約96%を保有している。Pivotalの製品はDellEMCやVMwareと併売されることが多く、売上の37%はデルやVMware経由だ。

クラウドコンピューティングは、ストレージやホスティング、データ保存などのインフラストラクチャと、その上で構築するアプリケーションとに大別される。多くの企業が利用する「Pivotal Cloud Foundry」は、企業がプライベートクラウドとパブリッククラウドのどちらでもアプリケーションを実行できる。

IBMやオラクルなどのレガシープロバイダーもクラウド間の橋渡しをするサービスを提供しており、Pivotalにとってはこれらの企業の方がアマゾンやマイクロソフト、グーグルよりも直接的な競合だと言える。

CEOのMeeは、IPO直後のフォーブスとのインタビューで、2013年のスピンアウト時からIPOを目指していたことを明らかにした。Meeによると、IPOで調達した資金で海外展開を加速させるという。
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編集=上田裕資

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