当時、ジョーイが講演でよく話してた鉄板ネタのひとつに「BIとAI」という概念がある。「BIとAI」といえば昨今、「BI(ベーシックインカム)と「AI(人工知能)」の文脈で語られることが多いが、彼が話したいたことはそうではない。
ジョーイが言う「BIとAI」は「Before Internet」と「After Internet」のこと。インターネットの登場前と登場後で、世の中が大きく変化した、という話だ。
MBA取得者が力を持った「BI時代」
ジョーイによるとBI、つまりインターネットの登場前は、今から考えると石器時代のようなものだったという。当時、物事は比較的シンプルで、未来を予測しやすく、学んだことを繰り返していれば生活できた。
一流の大学やMBA(経営学修士)で学び、良い会社で働けば成功が約束される。そんな画一的な教育が有効だった時代だ。物事は比較的、高価だったためじっくり考え、失敗しないように計画を立てる必要があった。MBA取得者が力を持ち、エンジニアが弱かった時代でもある。
クリエイターが力を持つ「AI時代」
しかし、インターネットの登場により、世界は劇的に変わった。AIの時代では、世界はより複雑になり、物事を予測することが難しくなった。
この時代には、教育の重要性は下がり、自分で学ぶ学習こそが重要になってくる。物事は圧倒的に安価になったため、失敗するコストが下がり、失敗しないことよりも失敗しながら学ぶ、起業家マインドこそが重要になってくる。この時代は、理論に強いMBA取得者よりも、創作する力を持つエンジニアやデザイナー、クリエイターが力を持つ時代となる。
実は、ジョーイ自身が誰よりもAIの申し子なのだ。彼は大学を二度中退しているし、シカゴでクラブDJとして生計を立てていた時期もあると言っていた。その後、ベンチャーを創業したり、投資家、NPOの代表、大企業の役員、大学の教授を務め、多様な分野に挑戦しながら、彼はその都度、必要なことを学び、挑戦し、失敗から学んでいる。