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Jan Knop / Shutterstock.com

米カリフォルニア州の裁判所は先ごろ、コーヒーの販売業者は発がんリスクに関する警告を表示しなければならないとする判断を下した。訴訟は米国の非営利団体Council for Education and Research on Toxins(CERT)が起こしていた。

CERTは90を超えるコーヒーショップが、発がん性が指摘される化学物質アクリルアミドについて消費者に「明確かつ合理的な警告」を表示してこなかったと主張していた。問題とされるのはコーヒー豆を焙煎する過程で生じる化学物質のアクリルアミドだ。

米国国立がん研究所(NCI)によれば、アクリルアミドは体内でグリシドアミドと呼ばれる物質に変換され、DNAに損傷を与える。すでに多くの人が知っているとおり、この化学物質は高温で加熱したでんぷん質(フライドポテトやトースト)などにも含まれ、米食品医薬品局(FDA)とその他各国の政府当局は国民に対し、その健康リスクを警告している。

だが、コーヒーは主に長期的な相関関係を調べる研究によって、肯定的な結果が数多く示されてきた。そのため近年は、発がん性に関する議論からほぼ外されていた。世界保健機関(WHO)も多くの場合、発がん性のある食品にコーヒー豆を含めていない。

WHOの外部組織、国際がん研究機関(IARC)もまた、「ヒトと動物に関する1000件を超える研究結果について徹底的に見直した結果、コーヒーを飲むことと発がん性の関連性を示す十分な証拠を確認することはできなかった」としている。

「疫学研究の多くによると、コーヒーを飲むこと自体と膵臓がん、女性の乳がん、前立腺がんの発症は関連が確認できていない。一方、肝臓や子宮内膜については発がんリスクが低下するとされている。さらに、その他20以上の種類のがんは、確定的な証拠が得られていない」

ただ、裁判所が問題にしているのは、こうした点ではないと見られている。コーヒーに実際に含まれているアクリルアミドについて、コーヒーを販売する関連企業の側がその含有量を安全なレベルだと証明できないことが、コーヒーそのものの発がんリスクに関する疫学的証拠を無効化してしまうのだ。判決文には、「被告はコーヒーの摂取が健康に有益であることを、証拠の優越によって証明するという立証責任を果たすことができなかった」と記されている。

関連企業の一部はこうした判決を見越して、警告表示を行うことに数か月前に合意している。興味深いのは、今回の判決が今後の販売に影響を及ぼすのか、米国内のその他の州でも同様の動きが見られるようになるのかどうかという点だ。判決を不服とする企業側が、数週間内にも異議を申し立てる可能性もある。全米コーヒー協会はすでに、法的選択肢について検討する方針を明らかにしている。

さらに、消費者が今回の判決を受けて「朝の一杯」をやめることにするのかどうか、あるいは今後もコーヒー飲み続け、健康との関連性を示す証拠を積み増していくのかどうかもまた、興味深いところだ。

編集=木内涼子

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