──2011年7月に、前フェアである“ART HK”の所有権の大部分が、アートバーゼルの母体、MCH Swiss Exhibition Ltdに移行しました。その後、2013年から正式に冠が付き“アートバーゼル香港”は軌道に乗りました。アートバーゼルのネームバリューだけが理由ではないと思われますが、アートバーゼル香港を成功に導いた要員は何でしょうか?
好機とロケーションということだけに限らず、すべての事から恩恵を得つつ、様々な要素が絡み合って「アートバーゼル香港」という素晴らしいイベントを実現させることができたと考えています。
私は、2008年から“ART HK(香港国際アートフェア)”など、全ての展示会を見てきました。当時90程度だったギャラリーが、数百に増えるというカオス状態に興奮しました。アジア出身者として、このような成長過程を直接見届けることができるのは、非常に誇らしい瞬間でした。
香港は街も人もダイナミックであると同時に、東洋と西洋の玄関口で、このようなイベントを盛り上げる点で大変ユニークなロケーションです。東京、ソウル、北京を含め、どこにでもアクセスが良いことを考えれば、これ以上の場所はありません。この点も、香港アートの成長にプラスになりました。我々は、香港のアートコミュニティからも多くの支援を得ています。そのため期間中には、より多くのゲストやクライアントに、展示会だけではなく香港という都市を見ていただきたいと考えています。
フェア開催中は、アートコミュニティ、ギャラリー、関連機関など全ての人たちが一同に集い協力し合うので、アートバーゼル香港を訪れた人は、アートフェアに来たというより本来のアートウィークを過ごした気分を得られるはずです。一方で、フェアを訪れるアーティストたちにはそので仲の良さを驚かれることもあります。それは、彼らが欧米社会という非常に競争力を求められるところから来ているからでしょう。
もちろん香港のアートシーンにも競争はありますが、恐らく、全員がアートバーゼル香港を輝かせるという共通の目標を持って協力し合うことこそが、成功の一因だったと思います。
──アートバーゼル香港期間中のアートウィークにおいて、メイン会場外での必見イベントは何でしょう?
展示フロアやアートブース内での催事とは別に、フィルムプログラムや無料で聴講できるトークシリーズ“カンバセーションズ”など、さまざまなプログラムを企画しています。
現在、開館準備中の香港“M+”美術館(2019年開館予定)も、フェア開催中に重要な展覧会を開催します。以前は中国の現代アートを展示しましたが、今回はヴェネチア・ビエンナーレからのサムソン・ヤンの帰還を展示する予定です。アジア・ソサイティ、アジア・アート・アーカイブ、パリ・サイツなど、他の団体も年代の展示会を開催します。
アートバーゼル香港の初日の夜は、すべてのギャラリーがそれぞれの新しい展示オープニングを開催する“ギャラリーナイト”と呼ばれています。当日はどこも遅くまでオープンしていますので、ギャラリーホッピングしながら、全ての新しいショーを見ることができます。アートバーゼル香港はイベントが盛りだくさんで、会期中の一週間は1日2万歩は歩くことになるはずなので、歩きやすい靴でないといけませんね(笑)。