まずはビットコイン/円相場を見てみると、2月19日の週から2月26日の週にかけて心理的節目である100万円を挟んでのもみ合いとなった。22日に一時62万8000円(フィスコ仮想通貨取引所FCCE)の安値を付け、このまま値下げが続くのかと投資家心理を冷やす局面もあったが、翌23日には100万円台に値を戻すという底固さが見えた。
このビットコイン価格の下落の要因を推測すると、値下げによってシステムトレードなどによるロスカットが自動的に働いた結果、大きな下げが演出されることとなったのではないか。翌日にすぐ値戻しが起こっていることから、なんらかの特定のネガティブな理由による下げではないのではないかと思われる。
好材料として期待できるニュースのひとつめは、ビットコインの公式クライアント「ビットコイン・コア(Bitcoin Core)」のソフトウェアアップデートの報である。当初は2018年5月に予定されていたリリースが大幅に前倒しとなり、Segwitという技術施策をフルサポートするVersion 0.16.0 のリリースが実現した。ビットコインのトランザクション全体におけるSegwit採用の普及は、取引サイズの低減とそれに伴う取引手数料の低下が期待できるため、ユーザーにとっては待望の機能と言える。
さらに、このアップデートに合わせ、世界最大のビットコイン取引所である「コインベース(Coinbase)」が、これまでは採用していなかったSegwitのサポートを開始した。利用はまだ一部ユーザーに限定されているとのことだが、今週中にすべてのユーザーに対象を広げる予定とのことである。
コインベースによるSegwitのサポート開始直後から、すでにビットコインのトランザクション全体に占めるSegwitの採用率は急速に高まっている。これにより多数の顧客が恩恵を受けるのはもちろんのこと、ビットコインのネットワーク全体の価値が再認識されることに繋がるため、市場にも明るい影響を与えることが期待される。
ポジティブなニュースの最後のひとつは、米大手仮想通貨取引所Poloniexが米決済大手企業Circle社に買収され、その傘下に加わったことである。Poloniexはビットコインのみならず多数の仮想通貨を取り扱い、それぞれにおいて高い取引シェアを持つ取引所である。一方Circle社は、ゴールドマン・サックスなども出資しており、仮想通貨の送金プラットフォームサービスも手掛ける大手スタートアップであり、資金調達額は仮想通貨関連企業の中でも屈指の額となる。
今後、取引所の流動性とユーザーの利便性を図るプラットフォームを融合させる事業展開により、仮想通貨取引参入へのハードルが下がり、市場の成長の一助となることが予想される。
未だ仮想通貨に対するネガティブなニュースなどがクローズアップされるなど、楽観論は禁物ではあるものの、上記のような仮想通貨の技術革新のニュースをきっかけに、相場の潮目が変わる可能性は大いにある。3月5日の週以降はボリンジャーバンド+3σ近辺である140万~150万を目指す展開も予想できるのではないだろうか。