プレゼン発表者の67%が犯す大きな過ち

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ひどいプレゼンテーションを最後まで聞かなければならなかったつらい経験は、誰にでもあるはずだ。発表者が単に下手くそだった、発表が非常に味気なかった、などの理由もあるかもしれないが、最もありがちな原因は、聴衆が聞きたかった情報を伝えていないことだ。

実は多くのプレゼン発表者が、聴衆が聞きたがっている質問に答えていない。これは問題であるものの、実は修正が可能だ。だがそれには、発表者が途中で発表の順番を変えることをいとわない姿勢が必要だ。真の問題は、67%もの発表者が、スライドの順番を変更して行ったり来たりすることを望まないことにある。

私が創業したコンサルティング企業リーダーシップIQ(Leadership IQ)が実施し、1万人以上が回答したインターネット調査「あなたのプレゼンスタイルは?」では、設問の一つに、次の2つの選択肢の中から一つを選ぶものがあった。

・良いプレゼンは、スライドを順番に追うものだ。
・良いプレゼンは、スライドの順番に関係なく進み、行ったり来たりする。

これまでの回答データによると、67%の人が「スライドを順番に追う」を選んでおり、「スライドの順番に関係なく進み、行ったり来たりする」ことが良いことだと考える人は33%しかいなかった。

規律と秩序を守って順番通りに進むプレゼンが間違っているわけではない。私が基調講演をするときは、自分が何を言うか、どのようにメッセージを伝えるか、またどこで冗談を言うかさえ何週間も前から厳密に決めている。コンサートのピアノ奏者は、メインプログラムとして演奏する曲目、アンコールの1曲目、2曲目などを数か月前から決めている。

しかし、ビジネスの場面で行われるプレゼンの大半は、ピアノ奏者によるコンサート演奏とは違う。プレゼン発表者が経営チームの会議に呼ばれるのは大半の場合、上層部向けの余興としてではなく、具体的な質問に答えるためだ。用意したプレゼンがこうした疑問に答えておらず、かつ発表者がスライドの順番を変えて行ったり来たりする気がなければ、プレゼンは大失敗に終わる。

最高経営責任者(CEO)はあなたのプロジェクトが予算内に収まっているかを知りたいと思っているのかもしれない。あなたのプレゼンにはその答えがあるものの、それが登場するのは34枚目のスライドで、残りはタイムラインやガントチャート、予測などの説明だった場合、どうすべきか? プレゼンの順番を変えず、最初の33枚をまず説明すべきか、それとも34枚目にいきなり飛ぶべきか? 調査結果を見ると、残念なことに3分の2の発表者が、CEOに多大な苦痛を強いることになったとしても33枚目のスライドまでを全て網羅するようだ。
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編集=遠藤宗生

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