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ユーチューブCEO スーザン・ウォジスキ

新しいエンターテインメントの形として躍進を続けるユーチューブ。グーグル創業期のメンバーであるCEOのスーザン・ウォジスキに聞く、革新の力とは。



「この中に入ってもらっても良いですか?」六本木ヒルズ内のユーチューブ・スペースで撮影クルーが恐る恐る訊ねると、スーザン・ウォジスキは気軽に「もちろん」と答えて赤い長方形のオブジェに身を屈める。

現在、世界で月間15億人以上がログイン、1日10億時間以上の視聴時間を持ち、現在推定10兆円の企業価値があると言われるユーチューブのCEOだ。

2017年フォーブスの「最も稼ぐユーチューバー」ランキングの1位は、人気ゲームの「マインクラフト」のプレー動画で人気を得ているダニエル・ミドルトンで、1年間で約18億円を稼ぎ出した。トップ10人の総収入額は16年の7050万ドルから1億2700万ドル(約144億円)に80%上昇した。主な要因は、広告収入を押し上げる動画視聴数の増加だと言われる。

14年にユーチューブCEOに就任したウォジスキ(元グーグル広告事業上級副社長)は、次々と新しい広告プロダクトを導入した。調査会社のeMarketerの調べによると、2016年のユーチューブの広告売り上げは約56億ドル(約6300億円)、前年比30%増の伸びを示し、グーグル全体の約9%を占めると推定されている。

一方で17年3月には、ヘイトスピーチや過激な内容を含む動画に、大手企業の広告が掲載されたとメディアに報じられ、5月にニューヨークで開かれた広告主向けのイベントでは、ウォジスキはステージ上で深々と謝罪した。

強烈なエネルギーを持つプラットフォームを舵取りする女性CEOに話を聞いた。

─ユーチューブという新たな経済圏は、今後どのような広がりを見せるか。TVとの違いを含め、全体像をどう考えているか。

ユーチューブはテクノロジーを活用し、従来のテレビとは違うプラットフォームを創造しました。TVは番組数、チャネル数に限りがあります。ユーチューブは無限です。

さらに、ユーチューブには検索技術と、視聴者にとって良い番組をおすすめする機能があります。これが、今までにはなかった新しいコンテンツの形を可能にしました。その創意工夫は、住宅の建築工法や自動車の製造工程が変化してきたさまと同じ、大きな変化です。

トップ・ユーチューバーは、次世代のグローバルメディアそのものです。彼らは既存のメディアの登場人物の1人となるよりも、自らが主体となることが当たり前だと思っています。

─06年のグーグルによる、16.5億ドルのユーチューブ買収の際に大きな役割を果たし、ペイドコンテンツではなく、一般の人による投稿動画に価値を見出した。その際の決め手になったのは何か。

いくつかの鍵となる洞察がありました。1つ目は、世界中の一般の人々が、自分のコンテンツをアップし、共有をしたがっていた、ということです。グーグルには既にGoogle Videosという製品がありましたが、ユーチューブのように成功はしていませんでした。しかし、同じ市場にいて、そのことに気づきました。

私たちが一般の人たちに動画をアップロードしてほしいとリクエストすると、世界中の人がアップロードしてくれました。最初の依頼では、私たちはインターフェイスさえ持っていなかった。一般の人々は、それがどのようなサービスになるのかを知らなかったのにもかかわらず、世界中から多くの動画が集まりました。

2つ目は、他の人が、一般の人が投稿する動画を見たいと思っていた、ということです。私自身が実際にその例を目撃した、いくつかの瞬間がありました。

最初にヒットしたユーチューブの動画は、寮の部屋で2人の学生がバックストリート・ボーイズの「I want it that way」を歌う後ろで、他の学生が黙々と宿題をしている、というものでした。この動画は、私たちが買収してきたどのスタジオのコンテンツよりも、多くの視聴者を獲得しました。

そして個人的にとても興味深かったのは、人が、自分と似たような人と繋がりたい、と思う人間本来の欲求です。ユーチューブは彼らのような人たちに人と繋がる場を提供しました。ユーチューブがなければ、その機会はありませんでした。

構成=土橋克寿、フォーブスジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

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