ビジネス

2018.02.03 18:00

ユーチューブCEOが語る「クレイジーなアイデア」を実現する力


─広告について伺いたい。ユーチューブは収益率が高まっている。アルゴリズムの改善などが功を奏していると思うが、CEOとなって特にコミットしたことは何だったのか。

ユーチューブのCEOになる以前、私はグーグルの広告システム全般におけるエンジニアリングとプロダクトデザインの責任者として11年間、グーグルの広告システムを見てきました。広告について、そしてどのような広告プロダクトを作るべきかについて、理解しているつもりです。ユーチューブでは、広告主にとって、より魅力的なプラットフォームになるために、やるべきことは多くありました。

まず、「Google Preferred」を導入しました。これは、広告主がユーチューブのトップコンテンツをセレクトでき、興味を持っている年齢層および視聴者層を知ることができるものです。この分野は成長し、これからの成長も期待できます。新しいブランドが、ユーチューブに興味を持ってもらうきっかけにもなっています。

そして、今年行った面白い施策は「Bumper ads」というたった6秒の動画広告です。小さなスペースで、ブランドメッセージを伝えるというものですが、実際、効果計測を行いましたが、効果が非常に高かったのに驚きました。広告主、ユーザー双方にとって良いプロダクトです。

さらに、私たちは、これまでもこれからもずっと、機械学習を使ったアルゴリズムの改善を続けています。さらに良く、さらに賢い方法で、視聴者と最適なユーザーを繋げる改善を日々行っています。

─テロ行為や差別関連の投稿動画に大企業の広告が表示される、という問題が起こった。それについての考えと方針は。

ユーチューブには、ポリシーがあります。テロリストやポルノグラフィを含む、コミュニティ・ガイドラインに沿わない、あらゆる不適切な動画は削除されます。それはユーチューブにふさわしいものではありません。

プラットフォームへの脅威が進化し、変化するにつれ、私たちの対応策も進化しなければなりません。ですが、どんな脅威が出現したとしても、私たちが問題に立ち向かう揺るぎない姿勢と努力は続くでしょう。

また、ユーチューブは、広告主にとって最適なものは何か、という別のポリシーを設定しています。例えば、シリアの戦争に関するドキュメンタリーは、人々にとって重要です。検索して見たい人も多いでしょう。しかし、そこに自社の広告を掲載してほしくない広告主もいるはずです。

どちらのケースにおいても、17年私たちはポリシーと機械学習のアルゴリズムを強化し、プラットフォームが安全であるだけではなく適切であるように、改善の見通しをつけました。

─グーグル創業期、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンに自宅のガレージを貸していたと聞きました。

実際は、ラリーとセルゲイに、ガレージと住居の一部を貸していました。その当時は、グーグルは創業したばかりで、全く有名ではなかった。ほんの少しのユーザーしかおらず、売り上げはゼロ、従業員は1人だけでした。

彼らに住居を貸した理由は、ローンが心配だったからです。その時、私は家を買ったばかりで、大学も卒業したばかりでした。そして、シリコンバレーの地価はものすごく高かった。ちょうどいいと思ったんです。私はインテルで働いていましたが、昼間仕事で家にいない間、彼らが使う、という具合に。でも、もちろん、彼らは昼間だけではなく、ずーっとそこにいました!

夜、会社から帰ってきてもまだ居るので、夜中までたくさんのことを話しました。

はじめは、他にも多くの検索エンジンはあるのに、彼らがなぜ別のものを作ろうとしているのか、よく分かりませんでした。ですが、話しているうちに、私の家でどんなことをして、彼らの検索エンジンがどの様なものなのか、徐々に知るようになりました。その時にようやく、彼らが特別なんだ、ということに気づきました。

しかし、住まいと会社を同じ場所に持つことは、そう簡単なことではありません。玄関から入ることは許さず、ガレージのドアから出入りさせました。ドアベルも専用のものを用意しました。

しかも、家があったメンローパークの路上は、夜間路上駐車禁止でした。駐車については、いつもやり合っていました。時々、彼らは私のベッドルームの窓の側に停めて、本当にうるさかった。こんなことは山ほどありました。でも、結局は上手くいった。とても楽しかった。7人目の従業員が来た時、オフィススペースに引っ越しました。

オフィスには、洗濯機と乾燥機が置かれました。なぜなら、私の家のガレージには洗濯機と乾燥機があったから。ラリーとセルゲイは、まだその当時は学生で寮に住んでいたから、本当に喜んでいた。今も世界の多くのグーグル・オフィスに洗濯機と乾燥機があるのは、彼らが、そのことがどんなに重要かを知っているからだと思います。
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構成=土橋克寿、フォーブスジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

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