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国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

写真提供:日産

シリコンバレーにある日産リサーチセンター(NRC)を訪ねた昨年11月、次世代の自動運転の技術をテストする施設で、リーアム・ペデルセン博士が1台の特殊リーフを見せてくれた。

しかし彼はニヤリとして「このリーフ、クルマに見えるかも知れないけれど、実はロボットなんです」と言い出した。ペデルセン博士は、かつてNASAの研究員として未来の惑星探査のために火星で走行させる探索機を開発していた人物。そして今は日産で自動運転の開発を手がける中心的研究者だ。

リサーチセンターを視察していた僕たちメディアに向かって、彼は問いを投げかけた。「日産リーフの自動運転プロトタイプと、火星探査器に共通するのは何だと思いますか?」。そして、僕たちが口を開く前に、彼はこう説明を始めた。

「おかれた環境の中で適切にナビゲイトしていくために、どちらも同じような自動運転システムを使うのです。火星を探査するロボットは、ちょうど4WD roverのように周囲を察知しなくてはなりません。その場その場で、何をすべきか自ら判断を下さなくてはならない。それって、地球上で自動運転するロボット・カーに求められていることと同じでしょう?」


元NASAの研究員でNRCのリーアム・ペデルセン博士。

ロボット・カーに搭載されるのは、複雑な機能を持つカメラとセンサー、ソフトウェアだが、それは博士と彼のチームが、将来ドライバーなしで安全に走行するために開発しているAIソフトウェアそのものだ。

1月半ばに開催されたCES 2018で北米日産は、将来の自動運転サービスの研究と技術開発をカリフォルニア州シリコンバレーにあるNASAエイムズ・リサーチ・センターで共に行っていくことを発表した。これは、日産が自動運転技術にコミットしていくことを改めて宣言したことになるし、一般道でプロトタイプを走らせることを約束した。日産は、NASAの次世代自動運転技術の開発で連携する唯一の自動車メーカーだ。

しかし、「そもそも、なぜ自動運転車?」というのが、根本的な疑問だ。それについて、博士はこう答えた。

「毎年、全米で2万人以上が交通事故でなくなっています。その多くは25歳以下。また、交通渋滞も大きな問題です。私だって毎日2時間渋滞にはまって通勤しています。つまり、自動運転技術の応用で、交通事故の犠牲者をグーンと減らし、通勤時間も短くすることが可能です。また、新しい交通手段のモデルでもあります。人々がシェアすることで、電気自動車はもっと経済的になるのです」

博士は、自動運転と電気自動車は相互にメリットがある技術だと考えている。「2つで1セット」だと彼は強調した。より安全で、効率がよくクリーンな世界を実現するための、クルマの両輪だと言う。

「自動運転技術を使って、EVをもっと経済的で、クリーンな排気にする。目指すのは、排ガスも事故死もゼロの社会です」

一方、まったく人間の手を借りない自動運転車は無理だと言うのは、NRCのディレクターを務めるオランダ人のマールテン・シアハウス氏。彼も、元NASAのエンジニアだ。

「いくら自動と言っても、やはり人間が人間のために作るシステムですから、人間と接触しないわけには行きません」でも、それが滞ることなく働くように、SAM(Seamless Autonomous Mobility)と呼ぶシステムを日産は開発したのだと言う。自動運転と輸送ネットワークを支援するシステムだ。

文=ピーター・ライオン

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