カナダのウォータールー大学の研究チームは、エナジードリンクとこれらに多く含まれるカフェインの摂取がもたらす悪影響について明らかにするため、12~24歳の2000人以上を対象に聞き取り調査を実施。その分析結果を先ごろ、カナダの医学誌「CMAJ」の電子版で発表した。
調査に協力した人のうち、摂取後に「悪影響が出たことがある」と答えた人は、コーヒーを飲んだことがある人の36%、エナジードリンクを飲んだことがある人の55%だった。
エナジードリンクを飲んだことがある人のうち、「頻脈(心拍数の増加)」「睡眠障害」を経験したと答えた人は、それぞれ25%だった。また、「頭痛」(約20%)のほか、「吐き気・嘔吐、または下痢」(5%)、「胸痛」(4%)、「発作」(0.2%)などの症状が出た人たちもいた。これらの人のうち、医師の診察を受けた人の割合は、5%だった。
刺激物とカフェインの危険な「相乗効果」
同大学の調査は規模が小さく、今後さらなる研究が必要であることは確かだ。だが、結果は全体として、コーヒーとエナジードリンクの相対危険度に関して過去に示されてきた見解を支持するものとなった。
エナジードリンクについて懸念されているのは、それらがカフェインと砂糖を高濃度で含んでいるというだけでなく、添加物としてその他の刺激物も含んでいるということだ。最も多くの製品に使われているのは、いずれも天然の成分であるタウリンとガラナ。これらは単独で影響を及ぼす場合も、カフェインと同時に影響を及ぼす場合もある。
「例えば、タウリンはナトリウムチャネルに有害な作用を及ぼし、不整脈を引き起こす可能性がある。また、カフェインの作用を増強させる可能性がある。そのため以前から、エナジードリンクの影響はカフェインの影響と一般化して考えるべきではなく、全く新しいものとみなすべきだとの主張がなされてきた」
危険を認識も「抜け穴」が現状を放置
当然ながら、エナジードリンクの子供や若者への悪影響については、過去にも研究が行われている。米医学誌「小児科学」には2011年、カフェインとタウリンの含有量が多い飲料の摂取が、心臓の問題や脳卒中その他の発作、糖尿病などと関連しているとしたマイアミ大学の研究結果が発表された。
この研究結果は、エナジードリンクの製造業者が安全性に問題があることを認めないまま製造・販売を続けることを可能にしている規制の抜け穴についても指摘している。
「製造業者は、エナジードリンクは栄養補助食品だと主張している。そのため、炭酸飲料水に義務付けられるカフェイン含有量の上限規制についても、医薬品に義務付けられる安全性試験の実施とラベル表示規則のいずれについても、対象外となっている」
さらに、昨年12月には、タウリンとカフェインの摂取に関する研究結果などの文献を見直し、分析した米ノーザンケンタッキー大学の調査結果が発表された。それぞれ単独で摂取した場合と同時に摂取した場合の影響について調べたところ、同時に取った場合の長期的な影響は、成長過程にある(思春期のころの)脳に対して特に大きい可能性があることが分かったという。
特定の年齢に達していない子供に対するこれら製品の販売を禁止すべきだとの声も多いなか、英国の食料品店チェーンは先ごろ、16歳未満の子供に対するエナジードリンクの販売を中止すると発表した。同国では25歳の男性の自殺とエナジードリンクを毎日多量に摂取していたこととの関連性が指摘されており、政府の積極的な取り組みを求める声が上がっている。