さまざまな兆候から見て取れるのは、衣料品小売業には「定常状態」が続くというニュー・ノーマルが確立されつつあるということだ。売上高は2013~15年に前年比2%以上の伸びを記録したものの、2016~17年は連続して前年比約1%増にとどまった。
こうした状況の下、業績が落ち込む衣料品ブランドのリストは長くなり続けている。以下、“生命維持装置をつながれた”、あるいは“少なくとも集中治療が必要”となった9つのブランドを紹介する。
1. アバクロンビー&フィッチ
姉妹ブランド「ホリスター・カンパニー」の売上高は増加したものの、2017年第1~3四半期の親会社の売上高のうち、アバクロンビー&フィッチ(A&F)が占める割合は約40%に上っている。そして、同期間のA&Fの売上高は、前年比6%減少した。
A&Fは2013年以降、店舗数を20%減らしている。米国内の店舗は現在、300余り。そのうち5店舗は、試験的に導入した新たなコンセプトに基づく、従来よりも小規模の店舗だ。これまで排他的だとされてきた店舗スタッフは、よりフレンドリーな顧客対応を基本としている。フォーブスの寄稿者ウォルター・ローブは、こうした取り組みが親会社の業績改善につながるとの見解だ。だが、筆者の考えでは、形式的なことだけでは、A&Fを立て直すには不十分だ。
2. Gap
ギャップは顧客を取り戻すため戦い続けている。だが、その戦いの大半において、敗北を喫しているようだ。2017年9月には、業績が振るわないギャップとバナナ・リパブリックの合計200店舗余りを閉鎖し、成長しているオールドネイビーとアスレタの2ブランドに注力すると発表した。
ブランド調査会社のブランドキーズは2016年、ギャップの顧客は大半が同ブランドを「捨てた」との見方を示した。各ブランドの顧客エンゲージメントのランキングで同年、前年から順位を20位下落したためだ。