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2017.05.14 12:00

かつての「憧れブランド」アバクロ、衰退の裏に潜む差別主義

Northfoto / Shutterstock.com

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かつては米国で最もホットなブランドだった──。グランジファッションの流行が過ぎ去った1990年代後半、十代の若者たちが求める軽快でカジュアルな、東海岸のアイビーリーグを思わせるスタイルを売りに登場したアバクロンビー&フィッチ(A&F)は、当時の米国のファッションを特徴付ける存在となった。

だが、A&Fとその姉妹ブランドであるホリスターはその後、凋落の一途をたどっている。どちらもすでに過去を象徴するものとして、すっかり魅力を失ってしまった。

ロイターが5月10日に報じたところによれば、A&Fは投資顧問会社ペレラ・ワインバーグ・パートナーズに依頼し、身売り先を探しているところだ。同じ記事によると、同社の営業利益は2015年の7280万ドル(約83億1400万円)から、翌年には1520万ドルに減少している。

他社ブランドとの違い

ウェットシールやエアロポステールをはじめ、全米各地のモールに多くの店舗を展開してきた各社は同様に、客足と売上高の減少に苦しんでいる、その点では、A&Fも同じだ。だが、同社にはほかのブランドとは異なる、別の側面がある。

1990年代半ばに写真家ブルース・ウェーバーを広告キャンペーンに起用したA&Fは、それまでと全く異なる形の注目を集めるようになった。ウェーバーが手掛けたモノクロの広告写真は、まるでハリウッドにある高校の卒業記念アルバムのようだった。

筋肉質で目鼻立ちのくっきりした、“完璧にかき乱した”髪の若いモデルたちは紛れもなく魅力的で、服以上に見る人たちの目を引いた。A&Fが売ろうとしていたのは、ライフスタイルだった。そして、A&Fは明らかに、各店舗でもそれと同じ感覚を消費者たちに提供しようとした。販売員たちはみな、誰もが高校生のころに夢中になった経験がある、学校で一番の人気者の生徒のような外見だった。

だが、2013年になるとネットメディアのバズフィードが、同社が従業員向けに作成していた身なりに関するガイドラインを公開。販売員に認められる髪の色や長さ、爪の長さまで、何から何までを規定する文書を明らかにした。
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編集=木内涼子

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